福井県の豚コレラ対策本部会議であいさつする杉本達治知事=7月29日、福井県庁

 「養豚場への感染は思ったよりも早かった」「やれることはすべてやっているのに…」。福井県越前市の養豚場で7月29日、豚コレラの感染が判明した。消毒など手を尽くしている中での感染に、県内の養豚業者からは驚きと悲痛な叫びが上がり、さらなる感染拡大を懸念する声が聞かれた。

 7月6日に県内でイノシシへの感染が確認され、対策を強化していたという県内のある養豚業者は「災害のようなもの。人の手ではどうしようもない」とやるせない表情を見せる。感染拡大防止に向け「行政トップとの話し合いの場を設けるなど、もっと目を配ってもらいたい。どうか助けてほしい」と悲痛な胸の内を語った。

 また、飼育頭数を増やすことを検討していた別の養豚業者は「これだけイノシシや豚に広がってくると、豚にワクチンを打つ方向に持っていかないと(終息させるのは)厳しいと思う」と指摘。別の養豚業関係者は「深刻な事態。やがて自分たちのところにも被害が広がらないか心配」と言葉少なだった。

 県産豚肉には、JA県経済連が扱うブランド「ふくいポーク」があり、県などとも連携して販売拡大に取り組んでいる。県経済連によると、生産量は少ないながらも県内の飲食店や精肉店には定着しており、出荷量以上の需要があるという。

 県経済連の担当者は「豚コレラは人には感染しないことは強調されてはいるが、消費者がどういう反応をするかの不安はある」と風評被害を懸念。県によると、出荷する豚は全頭検査し、豚コレラなどの病気にかかっていないことを確認しているといい、杉本達治知事は対策本部会議後、記者団の取材に対し「県民は冷静に対応してほしい」と呼び掛けた。県によると、豚コレラ発生農場から半径3キロ圏内の移動制限区域には別の養豚農家が1軒あるが、家畜伝染病予防法により約1カ月間は出荷や子豚の仕入れができない。豚が育ちすぎて出荷できなくなる恐れもある。県内の農家はふくいポークのほか、オリジナルのブランド名で販売している農家もいる。県内養豚業への影響について県の担当者は「心配。感染農場の再建を含め、地域のブランド豚を守るため、子豚の仕入れ費用や飼料代の助成など、支援策を講じていきたい」と力を込めた。

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