【論説】首都圏で活躍する福井県出身の経済人らでつくる「東京若越クラブ」が8月で設立10年目を迎える。「福井の勝手応援団」をコンセプトに、企業のトップを務めるメンバーらが講演活動などを通じて、培った経験と人生哲学を古里・福井に還元している。古里を愛する人たちの取り組みは、福井県にとって貴重な財産だ。

 福井に“恩返し”ができないか―。同クラブは2010年、若狭町出身で伊藤忠商事会長(当時)の小林栄三氏らの呼び掛けで発足した。同年8月に都内で開いた第1回の総会には経済界だけでなく、文化芸術、芸能、スポーツ界などから46人の多彩な顔ぶれが集い、福井の活性化に向けて動きだした。

 代表幹事は現在伊藤忠商事特別理事を務める小林氏、幹事にはJTB会長の田川博己氏、日本バスケットボール協会長の三屋裕子氏、指揮者の小松長生氏らが名を連ねる。クラブは順調に拡大を続け、現在のメンバー数は約180人。「古里への貢献」に絞った活動と、会費がない「緩い」つながりが、多忙なメンバーたちに受け入れられているようだ。

 同クラブの柱となる事業は企業・団体や官公庁、学校などへの講師派遣だ。

 福井銀行と福井新聞社が主催し、県内の企業や団体で働く若者の中から次代のリーダーを育成する「考福塾」には、13年の開塾当初から全面的に協力する。小林氏が塾長を務め、これまでに延べ50人以上の講師を派遣している。塾で学んだ一人が金融関係者らの連携を深めるための勉強会を発足させるなど、目に見える形で成果も表れている。

 また、福井県教育委員会の「ふるさと先生」として、県内の中学、高校で特別授業を行うメンバーも多い。多感な中高生たちが日本、世界で活躍する経済人らの考えに触れるのは貴重な経験であり、自らの将来を考える上で刺激となるに違いない。

 節目の年を迎える同クラブは、8月の総会に合わせて「ふるさと福井への提言・メッセージ」集を出版する。それぞれの専門分野からの意見は、福井県に対するアドバイス、エールになるはずだ。

 これからのクラブの方向性について、小林氏は「若い人がどんどん増えて、新しい発想、知恵で福井を応援できるような何かを探していくのが大事」としている。北陸新幹線の敦賀開業までの残り3年半余りは、福井県にとって大切な時間になる。「勝手応援団」の熱意を明日の福井づくりに生かしたい。

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