【論説】うっとうしかった梅雨が明け、遅まきながら本格的な夏がやって来た。今年は例年よりも暑い日が少なく、福井市で5~7月半ばに最高気温が30度を超えた「真夏日」は10日足らず。35度以上の「猛暑日」はゼロだった。

 幸い、熱中症患者は少なめで、県内の救急搬送者(4月29日~7月14日)の速報値で100人と前年比60人減。しかし梅雨が明けた途端に炎熱モード。暑さに不慣れな分、注意と警戒が必要だろう。

 特に職場での熱中症は近年増加傾向にあり、厚生労働省は「STOP!熱中症 クールワークキャンペーン」(5~9月)を展開している。既に期間の半分を経過しているが、福井労働局では後半戦に向け改めて予防対策の徹底を呼びかけている。

 ■昨年は受診含め66人■

 県内の熱中症による労働災害は、過去10年で4日以上の休業が39人(うち1人死亡)を数えた。屋外作業が多い建設業が18人とほぼ半数。次いで製造業と農林業が各5人だった。月別では7月15人、8月19人と87%に達した。

 猛暑日が続いた2018年は9人。死亡者はいなかったが、前年の3倍で10年間で2番目に多かった。また休業には至らなくても医療機関で治療を受けた人を含めると66人に増加。やはり7、8月に集中し計50人と75%を占めた。

 ちなみに全国でも昨年の休業者は1128人(うち29人死亡)となり、400~500人台で推移していたこれまでの年に比べ2倍以上に増加した。異常とも思える被害状況に、気象庁は「猛暑は一つの災害」とまで言い切ったほどである。

 ■暑さ指数で危険把握■

 熱中症キャンペーンは17年に始まり今年3年目。福井労働局は3月に建設工事の発注機関や建設業、警備業団体に事前周知を行い、7月の重点期間を前に6月には防止対策の強化を要請した。

 具体的には、熱中症のリスクを把握できる「WGBT値(暑さ指数)」測定器の活用を奨励した。気温や湿度、放射熱、衣類の組み合わせ、労働の強度に応じて基準値が設定されており、適切な判断が可能になるからだ。

 また涼しい休憩場所を確保し、場合によってテントや通風・冷房設備、ミストシャワーの設置を検討。作業時間の短縮や長めの休憩、水分の定期的な摂取、通気性の良い服装の着用などを心がける。

 さらに予防管理者を選任するなど責任体制を確立する。こうした総合的な対策を進めるよう促した。

 ■事業所側が初の商談■

 熱中症には事業所側も危機感を持っている。猛暑に見舞われた昨年、福井商工会議所はその影響について会員アンケートを実施した。従業員の作業効率に「影響あり」と47・5%が回答した。

 猛暑対策(複数回答)では「水分・塩分補給品の支給」が最多の42・3%。「健康状態の把握」「熱中症の教育」「休憩時間の追加・延長」がそれぞれ20%台もあった。

 猛暑対策グッズなどの要望も強く、猛暑・災害用の商品やサービスを集めた展示商談会を今月初めて開催。県内外40社が出展し、電動ファン付きウエアや遮熱加工ヘルメット、気化式冷風機、ロケット技術を応用した断熱塗料などを紹介。事業所から約300人が来場する盛況だった。

 8月の気温は平年並みか高めの予報。労働現場では「猛暑は一つの災害」という警句をいま一度肝に銘じ、油断することなく熱中症のリスク管理を徹底。安全に乗り切ってもらいたい。

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