【論説】日本と韓国の関係が出口の見えない事態に陥っている。発端は日本政府が半導体製造などに必要な材料について韓国への輸出規制の強化に乗り出すと決めたことだ。ただ当初、元徴用工訴訟を巡る韓国側の対応を理由に信頼関係が損なわれたとしたため、歴史問題で譲れない韓国側の態度を硬化させた側面は否めない。

 日本政府はここに来て、元徴用工問題とは「関係がない」とし、輸出管理の問題による安全保障上の措置と説明。韓国側が求めている協議について「国内運用の見直し」と拒否している。与党議員らから韓国による横流しといった問題が指摘されているが、政府の具体的な言及はない。

 しかし、いったん歴史問題に通商問題を絡めてしまった以上、ともに引くに引けない状況だ。長期化すれば双方の企業は無論、世界経済への影響も懸念される。自治体交流事業の中断や韓国での日本製品不買運動など影響も出始めている。着地点を見いだす外交努力を早急にすべきだ。

 一義的には元徴用工訴訟に対する韓国の姿勢に問題がある。1965年の日韓請求権協定で「解決済み」とする日本の主張に韓国は向き合うどころか、「司法判断に介入しない」の一点張り。原告団による日本企業の資産売却手続きという段階にまで来ている。

 これ以外にも、従軍慰安婦問題に関する政府間合意への対応や、自衛隊機への火器管制レーダーの照射、東日本大震災後に韓国が実施している福島など8県産の水産物禁輸措置など、課題は山積している。輸出規制の強化に踏み切れば、こうした問題の収拾も困難になるのは必至だ。

 ジュネーブで行われた世界貿易機関(WTO)の一般理事会でも両国の議論はかみ合わず、不毛な応酬が繰り広げられた。参院選直前には河野太郎外相が韓国の駐日大使に「極めて無礼」と声高に抗議。その後、韓国外務省が河野氏の態度こそ「無礼」と反論するなど、外交交渉とは到底思えない光景だった。

 韓国政府はWTOに提訴する構えだが、最終判断までには2年以上を要するとされる。安倍晋三首相は支持層に訴えるかのように参院選前に規制強化を持ち出した。同様に韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領は来年4月の総選挙をにらんで政治利用をもくろんでいる可能性も否定できない。

 日韓対立を横目に、北朝鮮は日本海に向け短距離弾道ミサイル2発を発射。23日には中ロ軍機が日本海を飛行し、韓国機がロシア機に計360発の警告射撃を行った。日韓両首脳は北東アジアで一触即発の事態が起きかねないことを改めて肝に銘じ、真の外交に立ち返る決断をすべきだ。

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