【越山若水】「ふるさとの大空に はばたく翼 われらのいのち たくましい力あり…」(広部英一作詞、島崎篤子作曲)。校歌が福井県営球場に響き渡った。高校野球福井大会で栄冠を手にしたのは敦賀気比だった。2年連続9度目の優勝だ▼東哲平監督が「ロースコアの試合」と予想した通り、立ち上がりは丹生の玉村昇悟投手の力投に苦しんだ。だが相手のスキを突き、数少ない好機を見逃さなかった。攻守に安定した甲子園の常連と、初出場を目指すチームの経験の差が出たのかもしれない▼敗れはしたが、丹生のノーシードからの快進撃は見事だった。プロも注目する玉村投手は、140キロ超えの速球に加え制球もよく三振の山を築いた。ナインの多くは自然が豊かな地元育ち。学校がある越前町の宮崎地区はタケノコの産地として知られる。まるでタケノコのように急成長したチームだった▼1949(昭和24)年、初めて夏の福井大会に出場した丹生は1回戦で優勝した武生に1対27の大差で敗れた。だが最終回に1点を返し特別に敢闘賞を贈られた。今大会でも敢闘賞に値する健闘ぶりだった▼敦賀気比の校歌の一節に、「われらの船出 美しい港あり」とある。敦賀港は今年開港120周年を迎え、優勝は慶事に花を添えた。本舞台では丹生をはじめ負けたチームの思いも胸に、センバツVに続く気比旋風を起こしてほしい。

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