真核生物がクロロフィルを無毒化する仕組みを説明する福井工業大学環境・食品科学科の柏山祐一郎教授=7月17日、福井県福井市の福井工業大学

 植物や藻類の光合成に必要な色素「クロロフィル(葉緑素)」から活性酸素が発生するのを防ぐ仕組みを、地球上に存在するほとんどの真核生物が共有していることを、福井工業大学環境・食品科学科の柏山祐一郎教授(44)=福井県坂井市=が明らかにした。クロロフィルを体内に取り込んでも、活性酸素によりダメージを受けない真核生物だけが生き残り、進化していったと考えられる。柏山教授は「(無毒化の仕組みが)現在に続く多様な生物の礎になったのではないか。進化の過程をひもとくきっかけになる」と話している。

 研究成果が、微生物生態学の国際誌「The ISME Journal」に7月16日付で掲載された。

 クロロフィルは正常時、光のエネルギーを吸収し光合成を促すが、うまく作用しない場合は酸化力の強い活性酸素が発生し、藻類などを食べる真核生物に致命的なダメージを与えるという。

 柏山教授は10年ほど前からクロロフィルの研究に取り組んでいる。2012年に一部の真核生物が、細胞内に取り込んだクロロフィルを活性酸素が発生しない安全な分子に変換する仕組みを持っていることを発見。翌年から、福井工大の学生や他県の研究者らの協力を得て約190種の真核生物を調べ、ほとんどの系統に同様の仕組みがあることを明らかにした。

 柏山教授は「我々の祖先にあたる10~18億年前の真核生物の段階で、クロロフィルを持つ藻類を安全に食べる仕組みが既に確立していた証拠になる」と説明する。今後は、クロロフィルを安全な分子に変換する具体的な仕組みの解明が目標とし、「基礎的な研究だが解明が進んでいない分野。細胞の“生きざま”から我々の祖先を考える新たな切り口になり、突き詰めていきたい」と話している。

 真核生物 細胞に細胞核を持つ生物で、人間やほ乳類といった動植物など肉眼で見える生物のほぼ全てが当てはまる。真核生物の多様性のほとんどは肉眼で見えない単細胞生物が占める。細菌類などは、核膜を持たない原核生物に分類される。

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