【論説】今年4月に敦賀港と福岡県の博多港を結ぶ定期貨物船が運航を始め、7月には週6便に増便した。日本海側で本州と九州を結ぶ唯一の航路で、自動車関連部品などの積み荷は順調に増えているという。海上輸送の空白域が埋められた意義は大きく、災害時の物流の複線化や海上大量輸送によるドライバー不足の解消、環境負荷の低減などが期待されている。中京や関西に近い敦賀港の立地の良さも見直される契機となるか、注目される。

 日本海側で本州と九州を結ぶ航路は2006年に新潟・直江津-博多航路が休止されて以降、空白のままだった。

 約13年も航路ができなかったのは収益面などが理由と考えられるが、当時と今とでは大きく変わったことがある。陸送の運転手不足だ。慢性的な人手不足のため運送関係の業界は業務に支障が出ており、一気に荷物を運ぶ海上輸送が見直され始めている。

 敦賀-博多航路は、近海郵船(本社東京)がRORO船2隻により運航している。トレーラーやトラックが自走でそのまま乗降するRORO船が運ぶのは、主にトレーラーの荷台部分のみで、運転手の多くは乗船しないという。例えば荷物を運びたければ、港まで荷物を持っていき、到着港に別の運転手が取りに行けばよい。人手不足の改善を図る特効薬として機能しそうだ。

 また、物流インフラが長期間寸断された18年の西日本豪雨などの影響で、災害時における輸送ルートの複線化を求める企業が増えている。陸送からの転換はもちろん、混雑する瀬戸内海や太平洋側の輸送以外にも日本海側ルートを確保し、リスク分散したいとの考えが広がりつつある。もし災害が起きても、陸送より早い復旧が見込めるというメリットも大きい。

 新航路が順調に育ってきた理由の一つとして、敦賀港の立地の良さが徐々に見直されつつあることも挙げられる。関西や中京へのアクセスの良さが大きな特長で、現在、博多から敦賀への貨物の半数以上が中京へと運ばれている。

 今年開港120周年を迎えた敦賀港はかつて、日本海側の玄関口として海外貿易が盛んだった。北前船交易でも大きく栄えた。港自体も、大型船が着岸できる大水深岸壁を備え、立地面も含めて港のポテンシャルは高い。今後の敦賀港の利用促進を図っていくためにも、まずは新航路が着実に成長し、敦賀港の価値が広く再認識されていくことが重要だ。

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