【越山若水】映画を見ていると、たまに映像の前後で辻褄(つじつま)の合わないシーンを発見する。俳優のほくろの位置が違っていたり、同じ車のはずなのにナンバーが変わっていたり、思わず笑ってしまう▼一連の流れと矛盾するこうしたミスを、業界では「コンティニュティー・エラー」と呼ぶそうだ。幾つもの撮影テイクをつなぎ合わせる映画では案外と多く起きるという。データベースを調べると「goof=グーフ」(ヘマをする)という専用のリンクがあるほど▼そうは言っても、映画館で見ていてすぐに気付くとは限らない。むしろ見過ごすことの方が多い。理由は視覚のメカニズムにある。眼球は常に動いて情報を収集するが、人間の脳は事態を把握しようとして、その中で重要と思われることや動く物体に注目するらしい▼参院選から一夜明け、議席の全容が決まった。政権を担う自民は57議席と改選数を下回り、目標の「改憲勢力3分の2」にも届かずじまい。公明と合わせ71議席で過半数を占めたが、安倍晋三首相の「令和時代の国造りの信任を得た」という発言が大げさに聞こえる▼争点の一つ、消費税増税にも「皆さまのご理解をいただいた」と自己流の解釈を披露する。何かと強硬姿勢が目立った安倍政権である。選挙前の約束と矛盾する「コンティニュティー・エラー」を犯していないか、細心の注意を払って見届けたい。

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