吉本興業の岡本昭彦代表取締役社長 (C)ORICON NewS inc.

 吉本興業所属の芸人らが振り込め詐欺グループの宴会に出席して金銭を受け取るなどした「闇営業」問題を巡り、岡本昭彦社長(53)が22日、都内で会見を行った。騒動の真相や、タレントへのパワハラ発言など、さまざまな疑惑を暴こうと大勢の報道陣が集結。吉本側から「質問が終わるまで続ける」とアナウンスされた会見は、途中、10分間の休憩を挟みながら、計5時間20分に及んだ。記者人生の中でも“最長の会見”を体験したが、果たして全てが有意義な時間となったのか。改めて考えたい。

【動画】沈黙のあとの衝撃発言…「みんなにあとで聞いときます」(4:20:00~)

 午後2時、まず小林良太顧問弁護士が登壇し、騒動の時系列を30分に渡って説明した。その後、岡本社長らが姿をみせ、謝罪ののち、雨上がり決死隊の宮迫博之(49)とロンドンブーツ1号2号の田村亮(47)へ「つらい思いをさせてしまい、申し訳なく思っております」と深く頭を下げ、「処分を撤回したい」と明言した。

 そこからは、約5時間に及ぶ質疑応答の繰り返しだ。序盤は、リポーターたちが質問のマイクを得るため、勢いよく手を挙げて進行役にアピール。前方に構えたカメラマンたちも岡本社長が動く度にシャッターを切った。テレビ中継では、リアルタイムで出演者たちがコメントを寄せ、各メディアがとめどなくニュースを発信していく。

 さながらエンジン全開の様子で、矢継ぎ早に質問を投げかけた報道陣。しかし、お世辞にも歯切れがいいと言えない岡本社長の回答が続き、徐々に会見のペースは落ちていった。物議を醸した「テープを回してないだろうな」「会見するならやってもいいけど、全員クビにする」という“圧力発言”に対して「僕的には冗談で言った」と釈明した際には、記者から失笑が漏れるほど、現場の緊張感は薄れていたように思う。

 会見中盤は、岡本社長から真に迫る回答を得られず、やきもきしたリポーターが、ややニュアンスを変えた“似たような質問”で再チャレンジを試みる。堂々巡りのような状態も多々みられた。また「給与の減俸のみ」という処分に疑問の声が上がり、記者から「岡本社長にしか、できないこととは?」と問われると「う~ん…」と10秒近く沈黙。「みんなに後で聞いときます」と返答するなど、会社のトップに立つ人間として、明確なビジョンを持ち合わせていないことを露呈してしまった。

 取材する立場からすれば「時間無制限」となれば、そう簡単に追及の手を緩めることはできない。後で「あれを聞いておけばよかった」となってはいけないからだ。そうなると「記事にするか分からないけれど、とりあえず質問をする」という記者がいても不思議ではなく、手が上がり続けることは、当たり前の光景だろう。終わりの見えない会見に、吉本サイドも疲弊していったようにみえた。

 「全ての質問に答える」ことは、誠意のある姿勢だと思う。しかし時間が経つにつれ、他の取材に向かうため途中退席する人、機材のバッテリーが尽き、コンセントを探し求めてウロウロする人、代わり映えしない光景に構えることをやめたカメラマンなど、「時間無制限」ゆえの弊害もみられた。

 回答者、そして質問者に緊張感を持たせ、質の高い会見にするためにも、終了時間を設定した方がよかったのではないか。限られた時間を有意義なものにしようと、精度の高い質問が飛び、もしかしたら岡本社長も、より集中して回答することができたかもしれない。

 5時間を超える会見は、そう行われるものではないだろう。メディアもこれを“貴重な教材”として、今後に生かしていかなければいけない。奇しくも弁護士が宮迫らに言ったとされる「会見に成功はない」という言葉を痛感させられる結果となった。

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