福井県の小浜湾に浮かぶ蒼島。目を凝らすと中央の波打ち際に赤い鳥居が見える=福井県小浜市加斗

 福井県小浜市加斗の沖合約1キロ、小浜湾に浮かぶ無人島「蒼島(あおしま)」の頂にある蒼島神社には弁財天が祭られ、毎年7月15日に弁天祭が営まれている。しかし2、3年前の台風の影響で参道が崩れて神社にたどり着くことが難しく、最近は島で祭礼が行えていない。島全体が国の天然記念物に指定され、修復のハードルは高い。氏子の区民は「島で祭りを行えず、神様に申し訳ない」と頭を悩ませる。

 蒼島は周囲約400メートル、高さ約40メートルで、ナタオレノキやムサシアブミなど本州では大変珍しい暖地性植物群が自生している。女神の弁財天はやきもち焼きで、アベックで近づくとたたりがあるという。また石一つでも持ち帰ると不幸になると言い伝えられ、結果として貴重な植物群が守られたという見方もある。

 加斗の氏子が6班に分かれ、持ち回りで当番を務め神事や参道の清掃、下草刈りを行ってきた。神事の際は祭壇に魚やお神酒、餅などを供え、海上安全などを祈願する。少なくとも明治期以前から行われていたようで、住民が脈々と祭りを守ってきた。

 しかし2、3年前の台風で参道の一部が崩壊。ロープを垂らしてなんとか行き来できるようにはしたが、参加者には高齢者もおり、お供え物など祭りに必要なものを抱えてよじ登るのは難しい。国の指定を受けており、修復するにしても原生林を傷めず、セメントを使ってはいけないなどの条件があり、手を付けられないでいる。

 それでも祭りを中止するわけにはいかないと、7月15日には同市加斗の本所黒駒神社の社務所で行われ、総代や区長、当番が玉串と祈りをささげた。

 準備は大変だが「それでも昔からやってきた」と当番の男性(70)。「全国で災害が相次ぐ中、加斗は平和。やっぱり神様と信心は大切なんだろう」。上加斗区長の男性(38)は「島の神社を閉じたままで、神様に申し訳ない」と感じている。総代の男性は「(別会場であっても)無事祭りができてよかった。今後については氏子みんなで考えないと」と話した。

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