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 韓国映画界は、日本映画界に対していくつものアドバンテージを持っている。最たるものが、南北分断の歴史だろう。そして、『タクシー運転手』『1987年、ある闘いの真実』で描かれた1980〜90年代の民主化運動。本作は、北朝鮮への潜入捜査を命じられた韓国のスパイを描いた実話で、その決死の工作活動も見応えはあるのだが、軸となるのは南北の政治的イデオロギーを超越した男同士の友情物語。だから、南北問題を正面からエンターテインメントにした作品といえるが、そこに民主化の歴史も少なからず影を落とす。

 監督は、『悪いやつら』『群盗』など男臭い骨太の作風で知られるユン・ジョンビン。今回も主要人物は全員男で、韓国を代表する実力派男優陣の演技戦が大きな見どころとなっている。セリフに頼らない彼らの表情だけの芝居も多く、その最たる例といえるラストの再会シーンでは目頭が熱くなった。

 言い換えるなら、演出も演技も「映画」という表現媒体に忠実であるということ。公的資金援助やスクリーンクォータ制度などで映画産業が保護されている韓国は、映画を学ぶ環境が整い、人材も集まりやすい。よって、どんな韓国映画も映画としての土台がしっかりしているように見える。これもまた、日本映画界にはないアドバンテージだ。★★★★☆(外山真也)

監督:ユン・ジョンビン

出演:ファン・ジョンミン、イ・ソンミン、チョ・ジヌン、チュ・ジフン

7月19日(金)から全国順次公開

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