LPガスの供給を停止したENEOSグローブエナジー福井支店武生営業所=福井県越前市村国2丁目

 福井県の丹南地域で唯一、タクシーの燃料向けなどへのLPガス供給拠点となっていた、福井県越前市村国2丁目の「ENEOSグローブエナジー福井支店武生営業所」のLPガススタンドを廃止したことが7月11日までに分かった。越前、鯖江両市のタクシー会社は、福井市内のLPガススタンドで燃料を補給する必要に迫られており、各社は「乗務員不足の中、車を営業に使えない時間が増えるのは大変困る」と頭を抱えている。

 同営業所のLPガススタンドは6月21日に供給を停止。県内のLPガススタンドは、供給停止した越前市以外では福井市に5カ所、あわら、大野、勝山、敦賀、小浜の各市に1カ所ずつある。このうちエネオスグローブエナジーは現在、福井と大野で1カ所ずつ運営している。

 同営業所のスタンドの廃止については、LPガス需要の減少やコスト削減が理由としている。スタンドは設立から50年以上が経過し、「設備の部品交換など、年々維持費がかさんでいる」と説明する。スタンド廃止に伴って丹南の一般家庭向けのLPガス販売は、鯖江営業所(越前町)が担っている。

 LPガスの需要減は家庭でのオール電化普及、タクシー台数減少などの影響が大きい。売り上げはピーク時の約6割まで減少しているという。担当者は「費用対効果が見合わなくなっており、供給停止はやむを得ない。(タクシー会社には自前で)簡易的なスタンドを設置して対応してもらうといった提案をした」と話す。

 県タクシー協会によると、業界では長年、ガソリンに比べて低価格のLPガスを燃料として使うのが主流となっている。ハイブリッド車や電気自動車への切り替えが全国的に進みつつあるが、県内では8~9割のタクシーがLPガスを使用しているという。

 丹南のタクシー会社は鯖江市に3社、越前市に5社ある。武生タクシーを運営する福鉄商事(越前市)はタクシーを約20台保有し、全てがLPガスを燃料としている。村田治夫社長は供給停止について「突然のことで大変困っている。最も近い福井市内のLPガススタンドまで往復1時間かけて補給に行かなければならない」と窮状を訴える。

 同社は国が導入を推進しているユニバーサルデザインのタクシー車両を導入する考えだったが、LPガスを使うハイブリッド車だったため、越前市のスタンド廃止の連絡を受けて手続きを中止。数年かけてガソリンハイブリッド車に導入する計画に切り替えた。

 丸越タクシー(同市)の小嶋邦裕社長も「ただでさえ乗務員が不足しているときなのに」と厳しい表情。LPガスのタクシーは3日に1回程度の燃料補給が必要といい「福井のスタンドまで行くと、タクシーの営業時間が大幅に奪われるため生産性がなくなってしまう」と話した。

 武生営業所の廃止について、県タクシー協会の勝木巡専務理事は「民間企業の判断であり、どうしようもない。(丹南の各社にとって)打撃となるが、ガソリン車などへの切り替えを進めざるを得ないだろう」としている。

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