福井豪雨の被害の様子を記録した15年前を振り返る森永泰造さん=7月3日、福井県福井市蔵作町

 2004年7月18日、福井豪雨に見舞われた福井県の旧美山町(現福井市)の中心部や山あいを歩き、被害の様子をビデオカメラで記録した男性がいる。氾濫する足羽川や泥の海に沈んだ集落、避難所に逃げ込む住民などをとらえた貴重な映像となっている。男性は「自分がいざ水害に遭ったとき、どうしたらいいのかを考える材料にしてもらえれば」と話している。

 男性は福井県大野市の森永泰造さん(69)。当日午前8時ごろ、美山町で大雨が降っていると聞き、車で向かった。旧西谷村(現大野市)に壊滅的な被害をもたらした1965年9月の奥越豪雨当日の話を人づてに聞いていたこともあり、被害の様子を映像で残さなければと考えたという。

 時折大粒の雨が激しく降る中、JR越美北線美山駅近くの駐車場に車を止め、歩いて撮影を開始した。美山町役場周辺では住宅が床上浸水しており、膝元まで水に漬かりながら避難する住民に遭遇。町職員は役場が停電する中、電話で豪雨の対応に当たっていた。「9時59分、停電です」「足羽川をのぞき込む避難住民です。役場の3階が避難場所になっています」など森永さんが現場の状況を説明する声も記録されている。

 映像では、増水した足羽川を流れてきた小屋の屋根が、橋の欄干に激突する瞬間もとらえている。蔵作町付近では堤防から水があふれ、対岸の小宇坂島町は「一面、泥の湖のようだった」。蔵作町集落内では、民家裏の杉林がゆっくりと土砂崩れを起こし、土石流は大きな岩や木を巻き込んで、通り道近くの住宅を次々と破壊していた。「運が悪ければ、巻き込まれる可能性があった」と振り返る。

 映像は32分26秒。福井市美山公民館で7月15日まで開かれる福井豪雨の写真展の会場で公開されている。森永さんは15年前を思い起こし「山中の落石や冠水した道路を撮影したことはあったが、実際に見た中で最大の被害だった。土砂崩れのときはなるべく離れるなど、災害時の行動を考えるきっかけになれば」と話している。

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