新任教諭の自殺を巡り争われた訴訟の判決が言い渡された2号法廷=7月10日、福井県福井市の福井地裁

 福井県若狭町の上中中学校の新任教諭だった嶋田友生さん=当時(27)=が2014年に長時間過重労働で自殺したことに対し、校長の責任を全面的に認め、町と県に約6530万円の賠償を命じた福井地裁判決。教員の長時間労働問題に詳しく「教師のブラック残業」(学陽書房)などの著書がある内田良・名古屋大学大学院准教授(43)=福井県福井市出身=はこの判決を「教員の残業は自主的ではないとして学校側の責任を認めた画期的な判決。教員の働き方改革の追い風になる」と評価した。

 ⇒父が判決後の会見で訴えたこと(D刊)

 公立校教員の時間外労働について「教職員給与特別措置法(給特法)や判例で、自発的なものとの認識が根強いが、実際にはほとんどがやらざるを得ない業務。嶋田さんの日記からも分かるように、休めず、睡眠もとれないほど、業務が次々と降りかかってくる状況」と強調。「こうした実態は若狭町だけでなく全国であり、新任だけでなくあらゆる年代の教員に起きている」と日本の教員全体の問題だとの認識を示した。

 また、これまでは長時間労働でうつや自死に至っても“給特法の壁”で教員が公務災害の申請をしないことも多かったと指摘。「今回の判決が公務災害の申請や教員の働き方に与える影響はとても大きい」と話した。

 福井県内のある中学の校長は「勤務時間外での授業の準備や保護者対応を『自主的な活動』とするのは、教員に対し心苦しいし申し訳ない」と本音を吐露。今回の判決理由に「自主的に時間外勤務に従事していたとはいえず、事実上、校長の指揮監督下で行われていた」との判断が盛り込まれたことに「そのような指摘を受けても仕方ない」と冷静に受け止めた。

■教職員給与特別措置法(給特法)

 公立学校の教員に対し「原則として時間外勤務を命じない」と定めている。時間外勤務を校長が命じるケースは、1校外実習や生徒の実習2修学旅行や学校行事3職員会議4非常災害で緊急措置を必要とする場合―に限るとし、「超勤4項目」と呼ばれる。教員には給与月額の4%相当の「教職調整額」を支給する代わりに、時間外手当の支給を認めていない。

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