福井地裁

 福井県若狭町の上中中学校の新任教諭だった嶋田友生(ともお)さん=当時(27)=が2014年に長時間過重労働で自殺したのは、校長が安全配慮義務を怠ったことが原因として父親が若狭町と県に約1億円の損害賠償を求めた訴訟の判決言い渡しが7月10日、福井地裁であった。武宮英子裁判長は、過重労働は校長の安全配慮義務違反によってもたらされたと判断、町と県に約6500万円の支払いを命じた。

 武宮裁判長は担当授業の準備、部活動指導、初任者研修の準備、保護者対応などの事務について「勤務時間外に行わざるを得なかった。自主的に従事していたとはいえず、事実上、校長の指揮監督下で行っていたものと認める」と判断した。

 判決によると、嶋田さんは4年間の臨時職員を経て14年4月、新採用で同校に赴任。1年生の学級担任や野球部の副顧問を務めていた。過重労働により6月にうつ病など精神疾患を発症したとみられ、10月に車内で練炭自殺した。

 勤務時間以外に4~6月は月128~158時間、9月は169時間にわたって在校していた。地方公務員災害補償基金県支部は16年9月、長時間労働による精神疾患が自殺の原因として公務災害と認定した。

 訴訟で原告側は、生徒指導や保護者対応、上司からの厳しい指導などによる強い心理的負荷が嶋田さんにあったにもかかわらず、校長が業務の軽減や配慮を怠ったと主張。「早朝出勤や持ち帰り残業は職務命令だった」との訴えに、被告側は「自主的な活動で勤務時間に当たらない」と反論していた。新任教諭を対象とした初任者研修で、指導担当者からパワハラがあったとする原告の主張に対しては「父親のような深い愛情と厳格さをもって指導しており、パワハラはない」と否定していた。

 自殺の予見可能性について被告側は、健康状態の異変を感じることはできず、自殺の予見も不可能だったと主張していた。校長に安全配慮義務違反に当たる過失はなかったとし、請求棄却を求めていた。

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