農業用水として使っていた沢水が枯渇した用水路=7月3日、福井県敦賀市田尻

 2023年春の北陸新幹線敦賀開業に向けた新北陸トンネル(約19・7キロ)工事の影響で、周辺の福井県敦賀市越坂、田尻の両区内を流れる川や農業用水が枯渇する現象が起きている。弘法大師空海にまつわる伝説が残る井戸が使えなくなった被害も出ている。建設主体の鉄道建設・運輸施設整備支援機構は、下流側などから水をくみ上げて送水する応急対策を行っているが、地元住民からは恒久的な対策を求める声が相次いでいる。

 越坂区では、新北陸トンネル工事のアクセス通路となる「斜坑」の掘削工事が2017年3月に始まり、同年7月ごろから区内を流れる越坂川の流量が減少。同機構の調査によると、上流付近で毎分約100リットルあった流量が5分の1を下回る状況となった。

 川の水は農業用水の一部や冬場の道路の融雪に使っており、区民の生活に影響を及ぼす懸念が生じたため、機構は地元と協議。応急対策として、斜坑付近の湧水をポンプでくみ上げ、浄化処理して川の上流部まで管路を通し、送水するようにした。

 区長の男性(70)は「以前は川で野菜を洗う区民もいたが、濁水も混じり、もう洗えない」と厳しい表情。「トンネル工事の完了後は、絶対に水が枯れない場所から送水するようにしてほしい」と抜本的な対策を求める。

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