「千歳くんはラムネ瓶のなか」で作家デビューした裕夢さん=福井県福井市内

 福井県福井市出身の作家、裕夢(ひろむ)さん(32)=東京都=のデビュー作となるライトノベル「千歳くんはラムネ瓶のなか」が発刊された。福井を舞台にした青春ラブコメディーで、主人公はイケメンで友人にも恵まれた“リア充”側の設定と、ライトノベルでは異色の作品。発売1週間で重版が決まるなど話題を呼んでいる。

 主人公は、県内トップの進学校に通う男子高校生の千歳朔(さく)。学校裏サイトに誹謗(ひぼう)中傷を書き込まれながらも、スクールカースト(校内序列)の頂点に立ち、優れた友人に囲まれながら学校生活を送る。そんな中、担任から引きこもり生徒の更生を頼まれて―とのストーリー。作品は小学館のガガガ文庫の「第13回ライトノベル大賞」で優秀賞に輝いた。

 編集担当者によると、ライトノベルの主人公は、読者が共感し自己投影できる非リア充やオタクが多い。裕夢さんは「共感ではなく、こんな男になりたいと憧れる主人公を書きたかった」ことからリア充設定にした。担当者は「新時代のライトノベル作品」と話す。

 裕夢さんは大学進学のために上京するまで福井市内で過ごした。「青春ラブコメは都会が舞台になることが多い。だけど地方にも青春がある」との思いから福井を舞台にした。作中には県民におなじみのショッピングセンターなどが登場。男子高校生は自転車のサドルを一番低い位置にして乗るなど「福井あるある」も盛り込んだ。

 裕夢さんは「失敗した人や目立つ人をインターネットでたたく今の社会が嫌い」と語る。中傷されやすい存在のリア充を主人公に設定し「ネットでだれかをたたいて満足するのではなく、自分を高めることに力を注ぐポジティブな生き方をしてほしい」とのメッセージを作品に込めた。

 小学館刊、630円(税別)。

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