住職や葬儀社が集まり葬儀の在り方について話し合った会合=7月4日、福井県敦賀市金ケ崎町の浄泉寺

 葬儀は古くから続く仏教の教えに従い執り行うか、時代のニーズに合わせて簡略化していくべきか-。福井県の嶺南地方の浄土真宗の寺院と葬儀社の間で、葬儀の在り方を巡り議論が交わされている。7月4日には敦賀市金ケ崎町の浄泉寺で2回目となる会合が開かれ、「回り焼香」などの簡略化した葬儀について意見を述べ合った。今後は集まった寺院を中心に、葬儀社と簡略化できる部分などについて話を続けるとしている。

 県内では嶺北で回り焼香が定着している一方で、嶺南では以前は全く行われていなかったという。しかし、同寺住職で浄土真宗本願寺派の瞿雲(くどん)英哉(えいさい)・敦賀組組長(63)によると、ここ10年ほどの間で葬儀社が葬儀を主導するようになり、嶺南のうち敦賀でのみ回り焼香が行われ始めたという。「回り焼香のような葬儀の簡略化は、敦賀で宗派に関係なく始まっているようだ」と話す。

 葬儀の在り方に疑問を持った瞿雲住職が呼び掛け、賛同した嶺南の浄土真宗住職ら約10人が、5月下旬に第1回の会合を開いた。「敦賀では、心を込めて故人を見送るために、ある程度は伝統的な葬儀を守りたい」との思いで一致したという。

 伝統的な葬儀内容と時代に合わせて簡略化させる部分の境界について話し合う2回目の会合には、市内寺院から7人、小浜市や美浜町から4人が集まったほか、敦賀市内の葬儀社4社も参加した。

 住職側からは「葬儀は本来、僧侶と門徒で内容や日取りを決めるのが伝統で、葬儀社はサポートする側であってほしい」「宗派や地域によって少しずつ葬儀の内容は異なるので、全国一律のやり方には違和感がある」などの意見が出た。

 葬儀社側は「地域によってさまざまな葬儀の方法があるので、地域性は必要」「今後、地域の風土に合わせたやり方を取り入れていくため、具体的な方法について話し合っていきたい」などと話した。

 会合後、瞿雲住職は「簡略化は葬儀社だけの問題ではなく、寺離れ、宗教離れという面では寺側にも責任があると承知している。しかし、葬儀は地域に根ざした一つの文化でもあるので、効率を重視した“商品”となることは望ましくない」と話した。今後、簡略化する部分としない部分について、葬儀社と相談を続けるとしている。

関連記事