40代の娘のことで相談です。左手親指の付け根が痛く、エックス線検査の結果、「関節のすき間がなく、すり減っている」と診断されました。腫れはありませんが、痛みが治まりません。治すには手術しかないとも言われましたが、本人も不安でためらっています。手術をすれば痛みはなくなるのでしょうか。(福井県嶺北、女性)

 【お答えします】(高嶋理・福井赤十字病院第二リハビリテーション科部長)

 ■中高年女性に多い 関節変形疾患の可能性

 まず想定される疾患は、母指手根骨中手骨関節症(母指CM関節症)が挙げられます。親指の付け根の関節が、加齢や関節への過負荷などが原因で変形していく疾患です。40~50歳以降の中高年の女性に多く発症します。

 変形が軽度の際には、疼痛(とうつう)(=痛み)や関節の不安定性、それに伴う日常生活での不備が主な症状ですが、変形が進行すると関節の亜脱臼が生じ、可動域(親指を動かせる範囲)の減少がみられてきます。

 ただ、変形が高度になればなるほど疼痛などの症状が強くなるわけではありません。変形が軽度でも強い疼痛を訴えられる人や、変形が高度であっても疼痛がほとんどない人も多数います。

 ■手術法は多種多様 担当医とよく相談を

 治療はまず、保存治療(装具による固定、服薬、関節注射など)を行います。疼痛が強く、保存治療で軽快しない人は手術の対象になります。

 手術方法は多種多様なものが存在します。変形の程度により方法はある程度決まってきますが、患者さんの年齢、性別、職業、症状などを考慮し、話し合った上で決定していきます。実際には、手術を行う医師が、全ての手術法に精通しておくことは困難であり、医師それぞれに慣れた(得意な)手術があり、その慣れた手術方法を患者さんに勧めることが多いです。

 手術方法の違いにより、疼痛の改善具合や、術後の合併症が変わってきます。変形が高度の患者さんに対し私がよく行う関節固定術(母指CM関節を適当な角度で動かないように固定する手術)は、疼痛の改善は優れていますが、全く痛くなくなるとはいえません。また、CM関節が動かなくなることより、小さいものがつまみにくくなる、洗顔時の水漏れ(親指を人さし指にくっつけることができなくなる)、手のひらを完全に広げることができなくなるなどの合併症が必ず起こります。

 それぞれ長所、短所がありますので、手術前に担当の先生とよく話をされた上で手術を受けるかどうかの判断をなさってください。

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