「幸せアクション」のワークショップで「SDGs de 地方創生」のカードを配る広部志行さん(中央)=5月、福井県福井市足羽1丁目の青松園

 地方創生の取り組みを、国連のSDGs(持続可能な開発目標)の視点で考えるカードゲーム「SDGs de 地方創生」が、全国で注目を集めている。開発したのは、福井の暮らしで幸せの実感を高めるための行動を探るプロジェクト「ふくい×AI 未来の幸せアクションリサーチ」に参加しているカードゲームデザイナーの広部志行さん(42)=福井県福井市=だ。「個人の小さなアクションであっても、社会を変える力がある」。ゲームに込めたメッセージは、プロジェクトが描く未来とも重なる。

 デザイン関係の職歴を重ねてきた広部さんは2016年から、研修コンサルティングなどを手掛けるプロジェクトデザイン(本社富山県)に勤務。企業の依頼に応じて社員研修などに使うカードゲームの開発を担っている。

 同社などは、飢餓撲滅や男女平等などの達成を目指すSDGsを題材にしたカードゲームとして16年に「2030SDGs」を開発した。国内に焦点を絞り、地域の実情をより反映した内容にしようと同社とNPO法人イシュープラスデザイン(東京)が連携し、広部さんの設計で18年に地方創生版が完成した。全国各地で体験会などが開かれ、公務員や経営者らに広まっている。

 参加者はチームに分かれ、ロールプレイング形式で仮想地域の行政職員や観光事業者、1次産業従事者らを担当。立場ごとにSDGsに沿ったゴールが設定され、「お金」と「資源」のカードをチーム間で交換しながら、ゴールにつながる地域プロジェクトの実行を目指す。成果に応じて▽人口▽経済▽環境▽暮らし―の4指標が変動するため、将来を意識した行動が求められる。

 福井新聞と日立京大ラボの共同研究プロジェクト「幸せアクション」で5月に開いた第1回ワークショップは、ウオーミングアップに「SDGs de 地方創生」を取り入れた。県内で初めてゲームを体験できる場となり、広部さんが見守る中、会場は熱気に包まれた。参加者は「(ゲーム上の)地域プロジェクトの結果をみながら、今後の地域の在り方をいろいろ想像できて、すごい体験だった」と振り返る。

 開発の狙いは「個人のゴール達成と社会を良くすることを両立する難しさ、面白さを感じてもらうこと」と広部さん。「一人一人の行動は、目の前で効果が見えなくてもどこかで別の何かにつながり、必ず社会を変えるうねりになる」と語る。

 「幸せアクション」では、AIのシミュレーションも活用して、幸せを実感できる地域の未来像と、それを導くための住民の行動を探る。7月の第2回ワークショップにも参加する広部さんは「個人の幸せと地域の幸せをどう両立させるか。『幸せ』を軸にした設計は今までのゲームにもなく、すごく面白くなりそう」と分析を楽しみにしている。

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