【越山若水】日本列島はいま「おもてなし」の大合唱である。というのも、来年の東京五輪を誘致する際にうたい文句になったのがまさにそれ。外国人の評価も高い日本のアピールポイントである▼わが福井県も北陸新幹線延伸を4年後に控え、観光客増大を図るキーワードである。とりわけ2018年の外国人宿泊者数は7万9千人余りで、全国ランク45位というありさまだ。県の6月補正予算案でも、インバウンド(訪日外国人客)の取り込みに注力している▼確かに、マニュアル化された接遇や対価が生じるサービスより、ささやかでも相手を思いやる「おもてなし」の方が効果は絶大だろう。ただ、いまやデジタル時代、顧客の満足度は様変わりしているという(神田昌典ほか著「人間学×マーケティング」致知出版社)▼ある調査によると、顧客はそこそこのサービスを受けていれば、企業への好感度は低下させない。むしろ「ウェブサイトで必要な情報が探せない」「コールセンターになかなかつながらない」といった、手間や面倒を強いられた場合に不満が高くなることが判明した▼業界では「おもてなし幻想」と呼ぶらしい。とはいえデジタル世代の話。心尽くしの「おもてなし」だけで十分と高をくくるのは禁物。インバウンドも視野に入れるのなら、交通標識やWi-Fi(ワイファイ)などハード整備もむげにできない。

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