宮城県の3人が東日本大震災の被災体験を語った講演会=6月28日、福井県福井市の福井新聞社・風の森ホール

 福井新聞社と河北新報社(本社宮城県仙台市)は福井地震から71年となった6月28日、東日本大震災で被災した「語り部」3人の講演会を福井県福井市の福井新聞社・風の森ホールで開いた。切実な訴えに約100人の来場者が聞き入り、災害時に命を守るためにできることは何かを考えた。

 震災体験を語ったのは東北福祉大学3年の志野ほのかさん(20)=宮城県石巻市、会社役員の安倍志摩子さん(57)=同県大崎市、元消防署員の佐藤誠悦さん(67)=同県気仙沼市。降りしきる雪の中、津波が家をのみ込む動画や、床板に乗ったまま津波に流されながら生還した体験談を、来場者は固唾(かたず)をのんで見聞きした。語り部の3人は「後悔しないための備えを」「いざというときどうしたらいいか家族で話し合って」」「生きるすべを強化して」などと呼び掛けた。

 また、都市の防災や住民避難、帰宅困難者対策に積極的に関わる廣井悠東京大学准教授は、「適切な避難はすごく難しい。表層的な対策では悲劇は繰り返される」と指摘。「避難する習慣や訓練を長続きさせ、“福井版津波てんでんこ”のような地域の文化をつくって」と訴えた。

 河北新報社が東日本大震災で多くの人が犠牲になったことを受け、震災翌年から各地で実施する巡回防災ワークショップ「むすび塾」の一環。2014年から全国の地方紙や放送局と連携した「共催むすび塾」を展開しており、北陸の地方紙との共催は初めて。

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 6月29日には地震と津波を想定した模擬避難訓練を福井県坂井市三国町の2カ所で実施。三国コミュニティセンターで語り部たちも交えて、災害への備えを語り合う。

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