医療分野への進出を発表する前田工繊の前田征利会長(中央)=6月28日、福井県福井市のユアーズホテルフクイ

 前田工繊(本社福井県坂井市、前田尚宏社長)は6月28日、スイスの医療機器企業に出資し、同社が開発した末梢動脈疾患の治療に使われる器具の日本国内での独占販売権を取得すると発表した。2020年から臨床試験を実施、22年の販売開始を予定しており、数年後に年間30億~50億円の売り上げを目指す。

 前田征利会長が同日、福井市内で会見し明らかにした。出資額は2千万ドル(約22億円)。前田工繊にとっては産業資材、土木資材、自動車ホイールに続く事業として医療分野への参入となる。前田会長は「人生100年時代、健康で暮らしたいという高齢者のニーズに貢献していきたい」と述べた。

 前田工繊は今月21日、医療機器の開発販売を行う100%子会社のMDKメディカル(本社坂井市、古瀬和宏社長)を設立。MDK社が、スイスの医療機器企業メドアライアンス社と29日、独占販売契約を結ぶ。

 末梢動脈疾患は、足などの血管が動脈硬化などの要因で、狭くなったり、詰まったりして血流が悪くなる病気で、重症になると壊死(えし)して切断に至る。高齢化などに伴い近年増加しており、下肢の同疾患は日本国内で年間約7万件の治療が行われているという。

 独占販売するのは血管拡張バルーンと呼ばれる器具で、狭くなった血管の中で、バルーン(風船)を膨らませて血管を広げるとともに、患部に免疫抑制剤「シロリムス」を塗布し、再び血管が狭くなることを抑制できるとされている。米国食品医薬品局(FDA)から「画期的医療機器」の指定を受けている。器具を利用した際、病院側が国に請求する保険償還価格は17万円程度になる見込み。

⇒国内で独占販売する血管拡張用バルーンとは(D刊)

 MDKメディカルは今後、M&A(企業の合併・買収)も活用しながら、医療分野の製品ラインアップ拡充を目指すとしている。

関連記事