豊島繊維の敷地内で5月下旬に撮ったとみられるファン・ティ・マイさん(手前右)らの写真(フェイスブックより。写真は一部加工)

 4人が死亡した福井県永平寺町松岡石舟の「豊島繊維」の工場火災で福井署は6月27日、身元が分かっていなかった1人は敷地内の寮に住んでいたベトナム人技能実習生のファン・ティ・マイさん(21)だったと発表した。死因は一酸化炭素中毒。20日の火災から1週間を迎え、4人全員の身元が判明した。

 ファンさんは、母国の両親を支えようと真面目に働き、日本語も熱心に勉強していた。「明るく、いつも笑顔で優しかった」。友人たちは早すぎる死を悼んだ。

 ベトナム北中部ゲアン省の農家に生まれた。7人きょうだいの6番目。高校を卒業し、繊維会社で働いた後来日。「日本で稼いだお金は両親を支えるために使いたい」と周囲に話していたという。

 火災の4日前、今月16日に遊んだという福井市在住のベトナム人男性(25)は「将来はベトナムでケーキ屋を開く夢も持っていたようだ」と話した。一緒に鯖江市西山動物園を訪れた思い出もあり、身元判明の報に「若くして亡くなってしまった。とても悲しい」と肩を落とした。

 ファンさんのものとみられるフェイスブックには、実習生仲間らと日本の生活を満喫する写真が並ぶ。来日直後の昨年11月には日記の写真を投稿。「きょうはやすみです。あきじかんがあるので日本ごをべんきょうしたい。でも、つくえがありません。だからベッドでべんきょうしなければならない」とつづり、童謡「ふるさと」の歌詞も日本語で記した。豊島繊維の寮の屋上で実習生仲間と仲良く雪遊びする写真も見られた。

 同社にファンさんら実習生を紹介していた協同組合によると、火災発生直後にファンさんを見た実習生は「気付いたら煙で見えなくなり、いつの間にかいなくなっていた」と話していたという。近く県内でミサが開かれる。親族は遺体をベトナムに連れて帰る意向を示しているという。

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