福井県大野市牛ケ原の住宅近くで撮影されたサル=2017年(福井県奥越農林総合事務所提供)

 福井県大野市の集落で、サルによる農作物被害が相次いでいる。露地栽培の農作物を群れで荒らし、今春だけで100万円以上の損失を出した農家もある。集落に現れた30匹以上の“大群”を目撃した住民もいる。同市には、ここ2、3年で被害相談が多く寄せられるようになったが、有効な手だてが見つかっていないのが現状だ。

 市によると、今年被害が報告されているのは上丁や下黒谷、阿難祖領家など市の北西に位置する飯降山周辺が中心。福井県のまとめでは、2018年、同市のサルによる農作物被害額は25万円。県奥越農林総合事務所では、報告されない被害はさらに大きいとみる。ジャガイモやトマト、キャベツ、白菜、キュウリ、トウモロコシなど4~12月にかけて収穫期を迎えたものから被害に遭っている。

 被害は家庭菜園が中心だが、農家への影響も出始めている。阿難祖領家のシイタケ農家の男性(89)は4月上旬、山の斜面で栽培する乾物用シイタケ200キロが一晩で食い荒らされた。市のふるさと納税の礼品にも登録もされ、損害額は100万円を超えるという。

 礼品の分は被害を受ける前の収穫分で賄ったが、地元のスーパーや野菜直売所への出荷はできなくなった。「自分たちの力だけでは防ぎようもない。毎年楽しみにしてくれているお客さんには申し訳ない」と声を落とす。被害に遭うのなら来年以降は、栽培量そのものを減らすことも検討しているという。

 イノシシやシカ用の電気柵や網では、身軽に飛び越えたり、くぐったりしてしまうのでサルの対策にはならない。市農業林業振興課は「動きが素早く、賢いのでサルの捕獲は難しい。民家周辺が安全な場所と認識されないためにも見かけたら追い払ってほしい」と呼び掛ける。6月30日には捕獲用おりを、要請があった上丁の山中に設置する予定。仕掛けに使う餌の準備などの管理は地区の住民でされる。

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