【論説】若狭地方有数の景観を誇る三方五湖エリア。北陸新幹線敦賀開業に向け、国内外から多くの観光客を呼び込もうと県や美浜、若狭町などは本年度から、観光地としての魅力向上を図るステップアッププログラムを推進している。景観や食、体験、学びなど、大きな潜在力を持つエリアを広域滞在型観光地へと変貌させる好機であり、地域や行政、各種団体の連携した取り組みを期待したい。

 三方五湖エリアには、複雑な地形がもたらす美しい景観をはじめ、県年縞(ねんこう)博物館や若狭町若狭三方縄文博物館、レインボーライン、美浜町日向の水中綱引き、若狭町宇波西神社の王の舞など、多くの人気スポットがある。いずれも悠久の歴史が培ったものであり、エリア固有の魅力だ。

 ステップアッププログラムでは、これらの観光資源を磨き、つなぎ合わせ、国内外から人が集まり滞在できる拠点作りを目指す。行政や観光、商工業などの関係者でつくる「三方五湖エリア全体協議会」が主体となり、本年度から2022年度までに進める事業は実に89事業を数える。

 日本農業遺産で認定された自然や伝統漁法などの貴重な資源を守りながら▽観光拠点のレベルアップ▽周遊ツアーや体験メニューの充実▽交通アクセスの充実▽インバウンド(訪日外国人客)の受け入れ強化-などに着手する。持続可能な観光に向け、好循環がつくれるかが大きなポイントとなりそうだ。

 同エリアの魅力は、インバウンドにも通用する。先頃、レインボーライン山頂公園が得た「クールジャパンアワード」は、訪れた外国人の審査員100人のうち8割以上が「クール(かっこいい)」と認めたことで受賞が決まった。実際、訪れたアジア観光客に話を聞くと、一様に三方五湖、若狭湾などの眺望や食の良さに言及する。「景色と食事は他よりも素晴らしい」「四季ごとに訪れたい」と手放しで褒める人が多い。

 一方、多くの外国人が求めていたものがある。旅館や観光地などのWi-Fi(ワイファイ)環境の充実だ。多くの外国人が会員制交流サイト(SNS)を利用しており、良いと思ったものは時を置かずアップする。それを見た外国人がさらに訪ねてくる。来訪者自らがPRしてくれるのを逃す手はないだろう。

 他に多言語対応などを求める声も多いが、これらはステップアッププログラムにも組み込まれている。国内外の観光客増に向け地域で盛り上がりながら、着実な進展を図ってほしい。

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