選手を激励する、東京国際大の倉田信靖理事長・総長(右)

 東京国際大。

 今季の駅伝シーズンに、新しい風を吹き込みそうだ。

 6月23日に相模原ギオンスタジアムで行われた、全日本大学駅伝の関東地区選考会。

 各校8人の選手が4組に分かれて1万メートルを走り、合計タイムで順位を決定する。

 最終的には東京国際大がトップで通過、続いて明治大、早稲田大、日本体育大、中央学院大の5校が11月3日に行われる本戦へ進出した。

 東京国際大の躍進は、きわめて印象的だった。

 走った8人の結果を見ると、30分台が4人、29分台が二人。各校のエースがそろう最終組を走ったイエゴン・ビンセントがハイスピードの留学生同士の競り合いを制し、28分4秒55で全参加選手のトップだった。

 また、7月にイタリアのナポリで行われるユニバーシアードのハーフマラソン代表の伊藤達彦が、28分58秒58で日本人選手の中では全体4位という好記録でチームを引っ張った。

 この結果を見る限り、29分台の選手がふたりそろうなど、東京国際大はもはや留学生頼みのチームではない。

 中央大学の卒業生である大志田秀次監督の下、全体の底上げがなされていることは間違いなく、箱根駅伝でもシード権内の実力を持っていると判断できる。

 トップ通過の後、スタジアムの外で行われた報告会では、大学の理事長・総長を務める倉田信靖氏も選手たちにねぎらいの言葉をかけるなど、大学を上げてのバックアップ体制が取られていることがうかがえた。

 大志田監督は、この喜ばしい結果を浮かれることなく、冷静に学生たちに語りかけた。

「全日本の予選会、5回目のチャレンジで初出場を決めることができました。通過はできるかなと思っていましたが、思いがけない結果でした。でも、これからはみんなが越えていくハードルがどんどん高くなっていきます。箱根駅伝の予選会を突破して、全日本のシード、そして箱根でのシードを目指していきます。やらなければならないことが多くなります。日常からの行動に気をつけ、そして大会に出場することへの思いを強く持ってください」

 そして大志田監督は、最後に選考会を走れなかった部員に対し、こう語りかけた。

 「出られなかったみなさんは、この大会に憧れを持ってください。その憧れが、質の高い練習につながり、そしてレースにつながっていくはずですから」

 レギュラー陣への今後のレースに向けての意識付けを図る一方、走れなかった選手への気配りも忘れない。

 口調は淡々としていて、感情の高ぶりは感じられない。しかし、それがかえって説得力につながっていた。

 今年の1年生には、高校時代に実績のある選手も入学している。

 東京国際大には、強くなる要素ばかりがそろっている。秋の駅伝シーズンが楽しみだ。

生島 淳(いくしま・じゅん)プロフィル

1967年、宮城県気仙沼市生まれ。早大を卒業後広告代理店に勤務し、99年にスポーツライターとして独立。五輪、ラグビー、駅伝など国内外のスポーツを幅広く取材。米プロスポーツにも精通し、テレビ番組のキャスターも務める。黒田博樹ら元大リーガーの本の構成も手がけている。

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