【論説】昔ながらの風情ある雰囲気がどこか懐かしい。しかも非日常的な時間が過ごせる―。小浜市の町家を活用した宿泊施設は宿泊客からこんな感想が聞かれ好評だ。

 同市の後瀬山と小浜湾に挟まれ古い町並みが残るエリアに、2017年以降次々オープン。今では4棟に増えた。土曜日や夏休みなどに個人客らを中心に埋まり、年間の稼働率は約30%に達している。

 管理運営するのは同市の第三セクター「まちづくり小浜(おばま観光局)」。第1号の宿として「三丁町」と呼ばれる茶屋町にあった旧料亭を改修、17年3月にオープンした「三丁町ながた」は昨年度113組が利用した。昨年4月開業の商家風「丹後街道たにぐち」は99組、10月開業の「三丁町さのや」は38組が宿泊。今春には明治期の町屋「八幡参道みやけ」も営業を始め、3~11月の土曜日、夏休みなど予約は順調だ。

 雰囲気や内装の違いから「ながた」「たにぐち」は大人数グループ、「さのや」「みやけ」は夫婦、カップルに人気で、年齢層は幅広い。それぞれ1日1組だけの1棟貸しだけに「家族や仲間でくつろげる」、風情に浸り「古い時代にタイムスリップしたみたい」などと徐々にファンを広げている。基本的に食事は提供しない。宿泊客が周辺の飲食店を自由に巡るスタイルも売りだ。

 稼働率をさらに上げるために、課題となるのは平日の客足をどう伸ばすか。シニア層に加えて、訪日外国人をいかに呼び込むかが鍵を握る。

 外国人の姿は目立つようになってきた。「ながた」を利用したのは昨年約10組。英語版の自社サイトのほか、海外の宿泊予約サイト、動画投稿サイト「ユーチューブ」でのPRが中心だ。

 何度も日本を訪れている外国人は東京、大阪、京都などのメジャーな観光地に飽き「天橋立(京都)や城崎温泉(兵庫)、金沢などに流れ、ときどき若狭にも関心を持つようになっている」とまちづくり小浜の担当者は分析する。

 町家だけでは誘引力は小さいが、「海のある小京都」と称される小浜は食や海、神社仏閣といった魅力が少なくない。組み合わせることで魅力が高まり、チャンスは大きく広がる。

 サバをテーマにしたツアー、お座敷遊び体験プログラムが用意されているが、民宿や神社仏閣などいろんな連携があっていい。外国語対応に加え、車移動が中心の日本人とは違った移動手段の確保も課題になる。

 東京五輪を来夏に控え、和への注目は高い。まちづくり小浜は、外国人の宿泊客を「ながた」で年間50組増やしたい考えで、その挑戦に注目したい。

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