【論説】地方創生の効果的な対策を審議する内閣府の「まち・ひと・しごと創世会議」は、2020~24年度に取り組む「第2期総合戦略」について新しい方向性を公表した。

 地方の急激な人口減少と歯止めのない東京一極集中。この相反する課題を何とか是正するため、都市住民が特定の地域の人々と継続的に交流する「関係人口」を拡大。将来的に移住者の増加を目指すという。

 年内にも数値目標を含めた具体策を決めるが、見方を変えれば、従来の取り組みが不発だったということ。地方創生は全国の自治体が抱える切迫した問題だけに、有望な施策が打ち出せるか注目される。

 ■地方創生を方針転換■

 安倍晋三政権による「第1期戦略」(15~19年度)は「企業や政府機関の地方移転」「若者の雇用創出30万人」などを目玉政策に掲げ、東京圏と地方の転出・転入の均衡を図ることを大々的に宣言した。

 ところがふたを開ければ、昨年の東京圏への転入者は49万1千人と2年連続の増加。転出者は35万5千人で、差し引き13万6千人の転入超過。東京五輪の好景気などもあって、地方の若者の流出は止まらない。

 最重要と位置づける地方創生が停滞し、ついに方針転換を迫られた。キーワードは「関係人口」の創出だ。都市に住みながら関心や縁のある地域に定期的に通い、イベントや活動に参加し担い手になってもらう。また週末の副業などを通じて活性化に貢献してもらう。

 移住する「定住人口」でもなく、観光に来る「交流人口」でもない。いずれ住んでもらえばいい…という考えで「観光以上、移住未満」とも呼ばれる。

 ■移住増加も人口減少■

 もちろん地方も手をこまねいていたわけではない。

 福井県では3大都市圏に「福井Uターンセンター」を17市町一体で開設、移住・就職フェアや相談会の開催、県内外大学生の就活イベント、地域おこし協力隊の定住支援などいろいろと手を尽くしてきた。

 その結果、18年度に県外から移住した「新ふくい人」は、Uターンが455人、Iターンが264人の合計719人で、集計を始めた07年度以降で最多となった。特徴としては、関東・関西・中京の大都市圏からの移住者が586人と8割に達し、20~34歳の子育て世代が359人とほぼ半数を占めた。

 それでもなお現実は厳しい。今年4月の県内推計人口は76万9548人。1年間で4859人減少し、ついに77万人を割り込んだ。1974(昭和49)年以来45年ぶりのことで、やはり自然減より県外へ転出する社会減が多数だった。

 ■県内でもモデル事業■

 次の第2期戦略に先立ち、総務省は昨年度「関係人口創出事業」をスタート。福井県は「幸福度日本一」の魅力をアピールし、県内での活動参画を呼びかける「福井とつながる都市人材しあわせプロジェクト」を提案しモデル事業に採択された。

 具体的な活動として福井、鯖江、美浜、若狭の4市町が中心市街地のまちづくり、ものづくり企業の魅力発信、里山里海湖(うみ)ビジネスの創出などをテーマにした事業に着手した。

 また本年度は坂井市の企画が選ばれ、ふるさと納税の寄付者を“城主”に登録し、丸岡城のにぎわい創出に取り組む。

 地方はどこも人口減少に苦しめられ、事態の解決に必死である。次期戦略では今までの施策を徹底的に検証し、地方の頑張りに応える手厚い支援、予算的な拡充に期待したい。

 もちろん東京一極集中の是正を実現するには、国としての大所高所の新機軸を明確にし、地域経済の再生や雇用創出などの処方箋を提示すること。それが前提である。

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