全米大学選手権2回戦でシュートを放つゴンザガ大の八村塁(21)=3月、ソルトレークシティー(USA TODAY・ロイター=共同)

 6月20日(日本時間21日)に、米プロバスケットボールNBAのドラフト会議が開かれる。

 ベナン人の父と、日本人の母を持つ八村塁(宮城・明成高―米ゴンザガ大)は、1巡目での指名が確実視されており、日本でもかつてないほどの注目を集めている。

 今回、八村の評価は異色のものと言える。なぜなら上位指名が確実視されている選手の中で、「3年生」というのは近年では珍しいからだ。

 3年生と聞いて「あれ?」と思う人も多いかもしれない。日本のプロ野球の感覚だと、4年で卒業してからドラフトされるのが普通だからだ。

 ところがNBAの場合、高校を卒業してから1年以上が経過していれば、大学に在籍していたとしても、プロ入りを望めばドラフトで指名されることが可能だ。

 最近は、1巡目の上位では素質に恵まれた1年生を指名するケースが目立ち、3年生ともなると、逆に「売れ残り感」がある。

 ところが八村の場合、バスケットボールを始めたのが中学生からと遅く、しかも高校までは日本で過ごしていたことから、「伸びしろ」が大きいと見るスカウトが多い。

 ではなぜ、経験豊富な3年生や4年生よりも、1年生がモテるのか?

 バスケットボールという競技の特性として、熟練したスキルよりも身長、スピード、パワーなど素質が重視される傾向が強いからだ。

 今回も、1位の指名権を持つニューオーリンズ・ペリカンズは、デューク大1年生のザイオン・ウィリアムソンを指名することが確実視されている。

 ここ数年、ウィリアムソンのように腰掛けで1年だけ大学に在籍して、NBAに転向してしまうケースを、アメリカでは「One and Done」と呼ぶようになった。

 卒業を待つことなく、たった1年で大学バスケはおしまい…ということから、この言葉が生まれた。

 この10年間のドラフトの歴史を振り返ってみると、「いの一番」に指名されたのは、2009年に2年生がトップ指名だったのを最後に、9年連続で1年生が1位指名されている。

 いかにNBAのチームが「素質」を高く評価しているかが分かる。

 その意味で、八村は3年生であっても、発展途上の選手と評価され、将来性が嘱望されている。

 シュートの距離は、NBAに入ってからさらに広がり、得点力はアップしていくことだろう。

 現状のドラフト予想では、八村は10位のアトランタ・ホークス、11位のミネソタ・ティンバーウルブズ、12位のシャーロット・ホーネッツ、13位のマイアミ・ヒートあたりの指名が濃厚とされている。

 ドラフトでの指名、そして今年の夏には中国でワールドカップがあり、八村は日本代表の一員としてプレーする予定だ。

 八村は日本のバスケットボールシーン、いや、スポーツシーンを変える可能性を秘めている。

生島 淳(いくしま・じゅん)プロフィル

1967年、宮城県気仙沼市生まれ。早大を卒業後広告代理店に勤務し、99年にスポーツライターとして独立。五輪、ラグビー、駅伝など国内外のスポーツを幅広く取材。米プロスポーツにも精通し、テレビ番組のキャスターも務める。黒田博樹ら元大リーガーの本の構成も手がけている。

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