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 フィンランドの戦争映画だ。国民的な作家ヴァイニョ・リンナの古典小説に基づく3度目の映画化で、第2次大戦時に隣国・ソ連軍と戦った“継続戦争”を扱っている。日本人にはなじみが薄いものの、当時のヨーロッパ情勢は複雑だし、知らなくても映画は楽しめるので、フィンランドがソ連に奪われた領土を取り戻そうとした戦争とだけ理解していれば十分。本作の魅力はそこではなく、我々観客を否応なく戦場の最前線へと放り込む臨場感にあるから。

 タイトル通り無名の兵士たちのサバイバルを描いている。主要人物は、奪われた農地を取り戻したい熟練兵、婚約中の小隊長ら4〜5人程。彼らは英雄ではないものの、それぞれに自分なりの考えや価値観を持ち、戦場という極限状況下、軍隊という画一化社会にあっても決して個性を失わない。その個性こそが人間性であり、戦争の対極にあるものだと訴えかけてくるのだ。

 また、1テイクに使用された爆薬の量がギネス世界記録に認定されたそうで、VFXに頼らない生々しい戦場の臨場感と、家族と過ごす束の間の休日や結婚式のシーンなどいわゆる日常性との緩急もうまい。さらには、ドキュメンタリータッチを装いながらも画面には作り手の意識が行き渡っているし、兵士の死ぬ瞬間の瞳が新妻の幸せそうな瞳と切り返されるなど演出も細やか。戦争そのものを描いた反戦映画として普遍性があり、見応え十分だ。★★★★☆(外山真也)

監督・脚本:アク・ロウヒミエス

出演:エーロ・アホ、ヨハンネス・ホロパイネン、ジュシ・ヴァタネン

6月22日(土)から全国順次公開

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