福井県越前市王子保地区などに長期滞在したコウノトリ「えっちゃん」=2010年4月、同市春日野町

 2010年に福井県越前市に長期滞在し、市から特別住民票を交付されるなど市民に親しまれた国の特別天然記念物コウノトリの「えっちゃん」が兵庫県豊岡市で死んだことが6月17日、分かった。兵庫県立コウノトリの郷公園(同市)は、今後解剖し詳しい原因を調べる方針。

 えっちゃんは、郷公園が放鳥したコウノトリから生まれた10歳の雌。郷公園の発表によると16日午前9時5分ごろ、同市の住民から「コウノトリらしき死体がある」と郷公園に連絡があり、職員が民家の車庫の屋根で死んでいるえっちゃんを確認した。

 豊岡市などで活動する市民団体「コウノトリ湿地ネット」によると同日午前8時45分ごろ、くちばしを鳴らす「クラッタリング」の音を民家の住人が聞き、その後に屋根に落ちる大きな音がしたという。

 直前に、えっちゃんが電柱で羽を休める姿を撮影した母親(42)と息子(13)親子=豊岡市=は「越前市の皆さんに大事にされていることに感動して、最近は探すようになっていた」という。今年生んだ子どもが数日前、巣立ったばかりで「地域みんなで喜んでいた。水田にいるペアの雄と子どもを電柱から見守るようで、元気そうだったのに」と声を落とした。

 えっちゃんは10年4月、福井県越前市白山地区に約40年ぶりに飛来したコウノトリ2羽のうちの1羽。7月中旬まで同市王子保地区などに107日間滞在した。公募でえっちゃんと命名され、市が特別住民票を交付した。えっちゃんをモデルにしたマスコットキャラクターが広報物やパンフレットなどに広く使われており、コウノトリとの共生を目指す機運の高まりに一役買った。小浜市や若狭町にも飛来した。

 越前市の奈良俊幸市長は「市の『コウノトリが舞う里づくり』を牽引したコウノトリ。今回の悲報を大変残念に思う。今後も引き続き『生きものと共生する越前市づくり』を推進していく」とコメントした。

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