木製フレームの織機がずらり。今も現役。「工場見学やカフェで集客することで、事業を引き継いでくれる人が出てくれば」と話す柳澤治久さん=福井県坂井市丸岡町猪爪の柳澤織ネーム

 洋服のタグ製造など国内で7割のシェアを誇る福井の「織ネーム」。ただ、衣料品生産の海外移転などで市場は大幅に縮小している。「1960年代は500社を超えたが、今は50社を切っている。もはや絶滅危惧種だ」。柳澤織ネーム(福井県坂井市丸岡町猪爪)社長の柳澤治久さん(67)は自嘲気味に話す。

⇒【連載】福井の事業承継「たくすつなぐ」

 子ども向けのネームタグやストラップ、グッズなど同社ではこの10年、オリジナル商品の開発に注力してきた。インターネットを通した拡販にも努めてきたが、継続した売り上げには結び付かない。年齢を重ねる中で先細る事業―。後継者が不在の中、工場の行く末が気になっていた。

 ■工場に魅力あれば…

 柳澤さんは昨夏、工場を「hataba(機場)」と名付け、見学できるようにした。60年前の木でできた織機が動く様子は壮観だ。「立派な産業遺産だと思う。残しておきたい」。交流スペースも造り、これまで100人ほどの見学者が訪れた。さらにカフェの開設も計画、織ネーム作りの体験ができる観光施設も視野に入れる。

 昨冬、最後の従業員が定年退職した。柳澤さんは「誰かに事業を任せたい。息子と一緒に働いた時期もあるけれど、今は離れている。工場の魅力が高まれば、振り向くだろうか」。次代につなぐ道を探り続けている。

 福井県事業承継ネットワークの2017年の調査によると、経営者が60歳以上の県内企業のうち、ほぼ2割が事業を承継したいが後継者未定としている。回答企業は「後継者がいない」「事業の改善や育成ができていない」「候補者との対話ができていない」などを課題に挙げている。

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