スケートボード日本選手権、女子パークで優勝した開心那の演技=村上市スケートパーク

 今年から東京五輪で新採用となったスケートボードを担当している。

 いわゆる「スケボー」。まだまだ勉強中で、とんでもなく長いカタカナの羅列の技名を理解し、勝負の分かれ目の着眼点なども磨く必要がありそうだ。

 初めての現場取材となった5月の日本選手権(新潟県村上市)は、選手のコメントをかみ砕くのに苦労し、コーチらに繰り返し説明を求めて、汗をかきかき何とか原稿を書き上げた。

 選手らの演技にも目を丸くしたが、それ以上に驚いたのが出場選手の年齢層だ。

 野球やサッカー、陸上、水泳などのメジャー競技に比べ、20代が圧倒的に少ない。皆無ではないが、各種目で20代のエントリー選手は片手に収まってしまうほどだ。

 スノーボードとの二刀流で話題をさらった男子パークの平野歩夢(木下グループ)は20歳。冬季五輪2大会連続銀メダルでスノーボード界の若きスターの彼も、スケートボード界では年長者になる。

 高校生すら少なく、多勢を占めたのが小、中学生。ある女子選手は「17歳なんて、ベテランて言われちゃいますよ」と笑っていた。

 女子パークを制した開心那(hot bowl skate park)は何と小学5年の10歳。身軽にぽんぽんと半円型のパークを飛び回り、時には板を回転させ、金具を引っかけてコースの縁を滑るなど、大人顔負けの演技を披露した。

 ちなみに決勝進出の8人中4人が小学生だった。

 これが他競技だったら大ニュースとなるだろう。

 事実、担当している水泳の飛び込み日本室内選手権で、12歳の玉井陸斗(JSS宝塚)が男子高飛び込みを制し、史上最年少優勝を果たした時はそれなりの騒ぎになった。

 スケボーの場合はまだ、マイナーなため大騒ぎにならなかったが…。

 なぜ、小学生が勝てるのか? 率直な疑問を日本代表コーチに尋ねると、納得のいく答えが返ってきた。

 「小学生にはまだ恐怖心がない。だから、思い切って新技にも挑戦できる。失敗しても、体が柔らかいからけがをしにくい。もしけがをしても治りが早い。治りが早いから、たくさん練習できる。だから上達が早い」。もはや、うなずくしかない。

 これが20代選手となると意外と難しい。高難度の技に挑むには一大決心が必要だ。

 体が大きい分、けがが重傷となる危険が増す。板をはね上げたり、押さえつけたりする脚力はある程度年齢を重ねた方が優位だが、スケボーは筋力などフィジカルが重視される競技ではなく、技術力がものをいう。

 その点を踏まえると、10代でピークを迎える選手がいても不思議ではない。

 先に紹介した開は海外のプロ大会も転戦し、着々とキャリアを積んでいる。

 そうなると注目は俄然、東京五輪代表入りだ。

 雨後のタケノコのように、才能豊かな小学生が次から次へと出てくるだけに、1年後の予想すらできないが、もし開が東京五輪代表に入ったら、小学6年で出場することになる。

 昨年のアジア大会スケートボードでは、インドネシア代表で9歳の少女が出場している。

 現時点で、日本はスケートボードの4種目全てでメダルが有望視されている。

 夏季五輪の日本最年少金メダルは競泳女子200メートル平泳ぎの岩崎恭子。この記録を塗り替え、さらには日本の小学生が表彰台を独占する事態が発生するかもしれない。

 その時、私は多忙で悲鳴を上げているだろうが、うれしい悲鳴となればこの上ない。

榎元 竜二(えのもと・りゅうじ)プロフィル

2002年共同通信入社。名古屋支社、岐阜、水戸支局で警察などを担当し、12年末から大阪運動部。15年から本社運動部で水泳、相撲、スケートボードなどを取材している。埼玉県出身。

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