【ゆるパブコラム】引きこもり経験者が語る生きづらさ

不登校気味だった高校の頃、学校の紹介で面接を受けに行った企業で、「君のことは元々採用する気は無かった」と言われた。欠席が多いのが理由だった。
それで、プログラミングのアルバイトをしながら業務請負と就職活動を並行した。
親しくしていたヒッキー仲間は、女性の絵を練習して、ネットで売る商売を始めていた。
スタート地点に立つには、最初に「履歴書の空白」を埋めないといけなかったのだ。

■自殺が身近にあった

僕は会社を辞めて実家に帰った。上司が自殺した後で、うまく眠れなくなったからだ。

ネットでは「働かないのは甘え」「言い訳をするな」「死ね」と、ヒッキーを見下したい人も沢山いた。
社会や政治にもおかしな所はあると思うけれど、同情よりも罵倒の方が多かった。
「親が責任を持って子供を始末するべきだ」とか「国が殺処分しろ」だとかは、今に始まったことじゃなくて、もうずっと前から言われ続けてきたことだ。

そのせいか、「国営の安楽死施設があればいいのにね」という発言もよく見かけた。
そんなものを作ってしまったら、働いてる人も沢山死んでしまうのではないかと思ったし、財政をはじめ、政府にとって都合の悪い人は自殺を勧められてしまうのではないかと思った。

■親が引きこもりになった

ヒッキーの恋人が出来たり、再就職を果たしたりして落ち着いた後、父親がうつ状態になり、仕事を辞めてしまった。

母は案の定、父に「働け」と何度も迫り、そのたびに父は会話を止めて沈黙した。
精神科に通院してもらうだけでも大変だったけど、仕事を探すのはもっと大変だった。
派遣会社に登録すれば、かわりに仕事を探してもらえるので良いという話だったけど、紹介された仕事を、父は初日で「申し訳ないが出来そうに無いです」と断って帰ってきた。

■少しずつ歩み寄って欲しい

僕は父を責めるつもりは無いし、「働け」と言ったこともない。
僕が父に「働け」と言われたことは一度も無かったからだ。
人生が思い通りに行ってないことなんて、本人が一番よくわかっているのだ。

このご時世、仕事なんていつ無くなるかわからないし、安定して長く働ける会社がすぐに見つかるなんて望みこそ、甘い考えだと思う。
いきなり自立を求めても出来ないのに、出来ないことを要求すると、人は壊れる。
だから、少しずつ働けるように、家族も少しずつ歩み寄って欲しい。

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 川崎殺傷事件や元農水次官の長男刺殺事件を受け、ゆるパブコラムでは3回にわたって、「引きこもり」特集を行います。実際に引きこもり、不登校を経験した方やフリースクールの運営者の方のコラムを掲載します。次回は6月18日か19日の予定です。

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【ゆるパブコラム】福井の若者や学生、公務員、起業家、経営者、研究者などがゆるくつながり活動する一般社団法人ゆるパブリック(略称:ゆるパブ、2015年福井に設立)が、さまざまな視点から福井のまちの「パブリック」に迫ります。ゆるパブメンバーを中心に執筆中。
 

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