【越山若水】絵日記と聞くと反射的に夏休みの宿題をおもう。日記だけならあまり題材を選ばない。でも絵にかくにはあの場面、この現物と心に残る何かがほしい―と、ぐずぐずしながら後回しにして、うしろめたくも架空の絵日記を提出したおぼえがある▼「アジアの子どもたちの絵日記集」と題された冊子が小欄にとどいた。子どもごころに重荷だった絵日記は、じつは「日本独自の文化」とあって、興味を引かれた。なるほど、随所にその力を感じた▼「今年のイード(ぎせい祭)の時、ぼくは牛市場へ行って牛を買いました。牛と写真も撮りました」。これはバングラデシュでグランプリにえらばれた8歳の男の子の日記。うしろから太陽に照らされているのか、牛と自分の姿を真っ赤に縁どった絵に元気があふれている▼すみずみまでカラフルで明るいのは、スリランカの子たちの絵日記。ラオスの入賞作は色鉛筆でかかれ、優しいけれどおとなしい。収められた24カ国の子の絵日記は、文字は読めなくても絵がお国柄や勢い、かいた子の性格までを雄弁に物語っていた▼作品集は1990年から続く「三菱アジア子ども絵日記フェスタ」の成果で、今回は2017―18年分。選考委員の1人、池上彰さんの講評には、こうあった。国力の変化が「非常によく見えてきます」「アジアって本当に多様だな」と。絵日記っていいものだ。

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