【越山若水】取材に行った途上国で、漫画家の西原理恵子さんは尋ねてみた。100万円あったら何に使う? すると住民は「そんなもの持ってないし、持つこともないから答えられない」。子どもたちに将来の夢を聞けば「ない」「わからない」▼きょうの米と味噌(みそ)に必死なときに、ケーキの上にのったフルーツのことなんか考えられない。希望を持つよりあきらめるのが唯一の希望になる―と西原さん(「洗えば使える泥名言」)。日本の現状もそうだとの論旨だが、世間は荒涼としてばかりでもないらしい▼ネットを通じて一般の人から資金を集める「クラウドファンディング」が一般的になってきた。やりたいことのある人がサイトで支援を募り、共感できると思った人はお金を出す。こんな簡素な仕組みによって「やさしいお金」が社会をうるおしている▼福井県のプロジェクトに特化したサービスもある。手前味噌で恐縮ながら、福井銀行とレディーフォー、それに小社が去年の春に「ミラカナ」を始め、これまでに14件すべてが目標の資金を集めた。県内外からの支援は1千万円以上になる▼住民と観光客がふれあえる交流キッチンを作りたい。食品用プリンターを購入して障害者雇用を拡大したい。これらはいま、支援募集も真っ最中のプロジェクトである。やりたいことのある人は貴重な存在だ。彼らの希望を消したくない。

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