電柱の上の巣でふ化したコウノトリのひなと親鳥=2019年6月1日、福井県坂井市内

仲良く子育てをするコウノトリのペア=2019年5月31日

 福井県と福井県坂井市は6月3日、坂井市内の集落内の電柱に作った巣で抱卵していた国の特別天然記念物コウノトリのペアの卵がふ化し、ひなが複数誕生したと発表した。

 福井県内での野外繁殖は、野生種絶滅前に国内最後のひな誕生が小浜市で確認された1964年以降、今年5月にひなが誕生した越前市安養寺町のペアに続き2例目。順調に育てば58年ぶりの野外出産からの巣立ちが期待される。

 坂井市内のペアは兵庫県豊岡市生まれの4歳の雄と6歳の雌。このペアは以前から福井県内に飛来していて昨年5月に越前市大塩町で有精卵を産んだ。しかしこの時はペアが巣を空けた隙にカラスに持ち去られ、近くの畑で割れた状態で見つかった。

 いったん福井を離れたが、今年2月下旬に坂井市内でペアが確認された。その後、坂井市内のテクノポートの鉄塔や福井市内の電柱など、さまざまな場所に巣を作ろうとしたが、感電や停電の恐れがあるとして電力会社が撤去してきた。巣を作ろうとしていた坂井市内の集落の人たちが「生ませてあげたい」と要望。北陸電力も巣のある電柱に通電しないように電気の通るルートを変更する工事を行い、住民も一時的な停電を受け入れてコウノトリのペアを見守った。

 県などは巣に伏せる時間が長いなどとしてペアが産卵、抱卵していると推測していた。ペアは昨年の失敗からことしは必ず一羽は巣に残り、卵を温めてきた。5月後半にはふ化したとみられ5月27日ごろから、親鳥が巣内に餌をはき戻して、ひなに与えようとする行動が観察された。6月1日には巣から複数のひなが顔を出す様子が写真で確認された。

 巣は高さ14メートルの電柱の上にあり、下からは巣の中が見えないためひなの正確な数は分かっていない。順調に育てば7月下旬~8月中旬ごろ巣立つ見込み。

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