【論説】30年後には魚の量よりプラスチックごみが多くなる、とまでいわれる。それほどひどい海洋汚染への対策にしては切迫感に乏しい。

 プラごみを減らすため政府は、各省庁の当面の取り組みを盛り込んだ行動計画をまとめた。併せて「プラスチック資源循環戦略」と海岸漂着ごみ対策も正式決定した。

 6月に大阪で開く20カ国・地域(G20)首脳会合に備えた対応である。安倍晋三首相は問題解決に向け「リーダーシップを発揮していく」と語ったが、国内の態勢整備は遅れている。議長国の面目を保つために体裁を取り繕ったと見なされはしないか。

 ■大排出国の責任■

 政府の対策によると、使い捨てプラスチックの排出量を2030年までに25%削減するというのが目標。達成のためにペットボトルのリサイクルを進め、レジ袋の有料化を小売店に義務づける。

 波や紫外線で細かく砕かれて海中を漂うマイクロプラスチックの削減も重視し、洗顔料などに含まれる微粒子の使用抑制を企業に要請する。

 さらに、海中でも分解しやすい新素材の開発や、東南アジアの途上国で最先端技術を導入してもらうことなども盛り込んでいる。

 これでは、おそらく各国の理解は得にくい。

 日本は世界有数の使い捨てプラスチック消費国だからである。ペットボトルの年間出荷本数は227億本(17年度)で、1人当たりにすると世界平均の約3倍に上る。レジ袋の消費量は年間300億~500億枚とされる。大排出国としての責任を厳しく問われても仕方のない立場を、政府はどれほど認識したのだろうか。

 ■諸国の施策に見劣り■

 海外では、各国政府や地方自治体、企業などが対策に動きだしている。昨年、国連環境計画などが発表した報告書によると、レジ袋の無料配布を法律で禁止したのは83カ国に達し、ストローなど特定の使い捨て製品の使用を禁じたのも27カ国に上る。

 欧州連合(EU)の閣僚理事会は、使い捨てプラスチック食器や発泡スチロール容器を禁止する案を承認し、21年までに加盟各国で法制化される。規制は中国や韓国でも始まり、台湾も30年までに使い捨てプラスチックを禁止する方針だ。

 比較すれば、日本は後発の上に対策の中身でも見劣りがする。G20で議論をリードするどころか、厳しい視線を浴びるおそれもある。

 現に中国や東南アジア諸国は、「リサイクル資源」として日本などから受け入れていたプラごみを相次いで輸入禁止とした。保管施設からあふれ出るごみで環境汚染が懸念され「先進国の犠牲にはならない」と決断した格好だ。

 ■買って後押し■

 改めて確認してみたい。国連などによると、使い捨てプラスチックの排出量は世界で年間3億トン超。このうち800万トンが海に流出している。

 日本では、毎年出る900万トン超のプラごみの約70%が焼却され、リサイクルに回るのは25%程度。その多くが海外輸出されてきた。

 大量生産・大量消費の末の大量焼却とごみ輸出に支えられた政策はもはや行き詰まり、根本からの変革を迫られている。

 最も問われるのは、危機的な地球環境に対する政府や産業界の認識と行動である。加えて、われわれ消費者も意識を高める必要があるだろう。

 福井県では、3社が連携して県産六条大麦の茎を使ったストローの商品化に乗り出し7月にも発売する。プラ製より値段が高いが、こうした商品をむしろ進んで買って後押しすることが環境保護につながる。

関連記事