【論説】流産、死産などを経験した女性たちが互いに思いを打ち明ける“カフェ”が小浜市で始まった。「わが子は亡くなってしまったけれど、かわいいという思いは(ほかの母親と)一緒」と主催した女性は話す。12月まで毎月1回開かれるカフェは、専門的カウンセリングを行うわけではないが、子を思い、語り、ほかの人と悲しみを共有する場である。カフェの存在で、少しでも心が軽くなる女性が増えてほしい。

 企画した同市の主婦堀井斉未さんは、1児の母で死産と流産を経験している。「生きて生まれてきた子と同じように、パパ似? ママ似? って聞いてほしいし、赤ちゃんのことを周りに話したかった」と話す。

 周囲はどうしても赤ちゃんの話に触れないように気遣う。堀井さんは慰めてくれているのは理解していても、なかなか話す場がなかったのがつらかったと振り返る。

 当事者でつくる任意団体「ポコズママの会」に出合ったのが行動を起こすきっかけになり、奈良で開かれた会に2回出席。そこで「話したい、聞いてほしいと思う人が私だけではなかった」と実感した。同会事務局と相談し、同会の福井代表としてカフェを開く決心を固めた。

 一歩踏み出したことへの反響は大きかった。同じ経験を持つ女性から激励のメールが寄せられ、経験者以外からも「自分の言葉が(女性たちを)傷つけていなかったかどうか、参加して学びたい」といった声もあった。

 5月21日に初めて開かれたカフェには2人の女性が参加した。わが子のことを話して涙し、ときには笑顔にもなり、あっという間の2時間だった。「(参加者に)心が軽くなったと言ってもらえて、なんでこういった場が今までなかったのかと思うくらい大切な時間になった」と堀井さんは手応えを感じている。

 日本産科婦人科学会のホームページによると、流産は妊娠の15%前後という。また厚生労働省の人口動態総覧では、2017年の死産率は2・1%と50人に1人の割合で起きている。決して少なくはない。

 女性たちは現実を受け止められず、「私の何がいけなかったのだろう」と自分を責めてしまいがち。次に妊娠しても「また同じことを経験するのでは」と不安が消えず、無事に出産するまで周りに妊娠したことを言えないくらいトラウマ(心的外傷)を抱えてしまう。カフェは始まったばかりだが、地道に回を重ね、輪を広げていってほしい。

関連記事