【越山若水】「世間ずれ」という言葉の意味が、近ごろ変わっているらしい。言うまでもなく、正しくは「実社会で苦労した結果、世間の裏事情に通じてずる賢くなること」を表す語句である▼ところが文化庁の世論調査で「世の中の考えから外れている」と解釈する人が多数派となった。2004年度には「ずる賢い」の回答が51・4%で過半数、「外れている」は32・4%だった。それが13年度にはそれぞれ35・6%、55・2%と完全に逆転してしまった▼誤解の理由を辞書編集者、神永曉(さとる)さんは「世間ずれ」の「ずれ」の捉え方が間違っている―と指摘する。本来は社会にもまれて純粋さを失う「擦(す)れる」の意味だが、標準的な位置から外れる「ずれる」と勘違いしているからだ(「悩ましい国語辞典」時事通信社)▼政治の世界でも正しい言葉の使い方を知らない“悩ましい人物”は事欠かない。「北方領土は戦争で取り返せばいい」。丸山穂高議員は交流事業で訪問していた国後島で、酒に酔った揚げ句に暴言や下品な言動を繰り返し、日ロ外交問題にまで発展する大失態を演じた▼「子どもは最低3人くらい産んで」。失言歴のある桜田義隆前五輪相は女性に配慮を欠く発言でまたも物議を醸した。どうやらご両人、単に一般常識の分別がないだけらしい。まさに今どきの「世間ずれ」ではあるが、政治家としては何とも情けない。

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