通信傍受に使われるパソコン型の「特定電子計算機」やヘッドホン(手前)、プリンター(左奥)、記録媒体(右中)など=福井県警本部

 改正通信傍受法が1日施行された。これまでNTTなど通信事業者の施設でしかできなかった犯罪捜査での通信傍受が、福井県警など全国の警察施設でも可能になり、迅速に対応できるようになった。特殊詐欺など組織犯罪の摘発が増えるとみられる一方、乱用やプライバシー侵害の不安から慎重な運用と厳格な管理を求める声もある。福井県警は福井新聞の取材に対し、専用機器を公開した。

 電話などの通信傍受はこれまで、首都圏に集中している通信事業者の施設へ捜査員が出向き、事業者立ち会いで行われてきた。数少ない事業者の施設に限られていたため、各警察本部は順番待ちを余儀なくされ、迅速性に課題があった。遠隔地の警察からの捜査員は傍受期間中、施設に近い場所に長期滞在する必要もあった。法改正により、警察施設で事業者の立ち会いなしで傍受できるようになった。

 立ち会いに代えて導入される専用機器は、パソコン型の「特定電子計算機」。県警本部の会議室などに設置し、通信事業者と専用回線で結ぶ。傍受した通信は、暗号化されたデータで事業者から県警本部へ送信される。計算機で受信し暗号化される前の状態に復元する。これまではリアルタイムの傍受に限られていたが、改正法では録音が可能になり、後日再生ができるようになった。

 同計算機は警察本部ではなく、警察庁の地方機関である管区警察局や各県の情報通信部が保管。全国の警察本部が傍受する際に貸し出す。従来と同じく、通信事業者に対して裁判所の令状を示さなければならない。

 捜査が適正に行われるよう「傍受指導官」が新設され、福井県警は捜査を担当する部署ではない刑事企画課の警部を充てた。運用に問題がないかどうか、傍受現場で捜査員に指導、助言する。

 法務省によると、2018年に警察は12事件の捜査で携帯電話の通話を傍受し、計82人を逮捕した。00年の通信傍受法施行以降の適用は計145事件、逮捕者は計857人。都道府県ごとのデータは公表していない。同計算機は本年度中に全国で188台配備される方針。

 福井県警刑事企画課は「法令に従い、適正な運用に努める」としている。

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