【越山若水】「あて書き」という脚本の作り方がある。脚本に沿い配役を決めるのでなく、出演者の顔ぶれを見てから良いところを引き出せる筋書きを描く。難点は完成まで時間がかかること▼昨年、大ヒットした映画「カメラを止めるな!」はこの手法を用いた。俳優養成スクールの実技でつくられた映画で、予算は300万円しかない。廃虚に昼間からゾンビが現れるのは、無料で借りたロケ地の管理人が残業不可だったから。出演者はギャラをもらうどころか、受講料を払って製作費の足しにした▼でも、出演者やスタッフは新人や受講生がほとんど。たっぷりある時間を使い、脚本を練りに練った。「与えられた条件の中で、どう工夫したか」。プロデューサーの市橋浩治さんが故郷・越前市での講演で語ったヒットの要因である。興行収入は31億円を記録した▼「学生まちづくり班」と銘打った、若者たちのプロジェクトが動きだす。舞台は福井市中心部。お仕着せの筋書きはどこにもない。どんな「面白い何か」を実現してくれるのか、すべては集まってくる学生たちの思い次第▼何か始めようとして、お金、手間、しがらみなど、ついついやらない理由を指折ってしまうのが筆者のよくない癖である。そんな壁を学生たちは軽々と越えていくに違いない。プレ会議に参加したのは8人だった。まだまだ大勢に加わってきてほしい。

関連記事