ランドセルや学生服の販売を通じ、青少年の育成にも携わりたいと語る山耕の山田耕一郎社長=福井県越前市村国1丁目のイクラボ武生店

 学生服の他に商材を検討する中、14年に東京のランドセル専門店を視察したのが転機になった。「家族連れが楽しそうに品物を選ぶ姿が印象的だった。学生服と客層も重なる」。ショップのイメージが固まり、新規事業に反対していた会長である父親を押し切ってイクラボを開業した。

 山田さんは20代から青少年の育成活動に取り組んできた経験があり、ビジネスと社会貢献の両立を目指せないか―との思いもあった。イクラボでは、ベビーマッサージや子育てサロンなどの「ママさん講座」も開催。17年にオープンした2店舗目となる武生店ではこの4月、小学生向けの無償の塾を始めた。夢は一歩一歩、実現に近づいている。

 ■後継者いない店

 福井県内には小規模で後継ぎのいない学生服販売店は多い。イクラボ武生店はもともと「地域一番の学生服の販売店だった。オーナーが高齢で、店を引き受けた」。現在計画している3店舗目も、制服直しなどを手掛けていた店の事業を引き継ぐ。山田さんは「お客が楽しく商品を選べる店を目指す。販売店の形を変えていきたい」と意気込む。

 県内企業を対象に、県事業承継ネットワークが17年に行った調査によると、経営者が60歳以上で「後継者が決まっている」とする企業は57%にとどまり、他は後継者未定か、廃業を考えているのが現状だ。将来を不安視して事業承継を躊躇するケースもある。

 山田さんは「ゼロを1にするのは難しい。ヒトとモノ、カネ、情報を引き継げることは大きい」と事業承継のメリットを強調する。「家業を継いでも経営は厳しいという人は多いけれど、経営資源を活用して新たなビジネスを考える方がいい」と、若き経営者候補たちにエールを送った。

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