【越山若水】傘の花が咲く、といえば雨降りの情景である。ぱっと思い浮かぶのは1970年代初頭にヒットした歌謡曲。♫雨にぬれながら たたずむ人がいる―と歌いだすと冒頭のフレーズに続く▼色とりどり、無数の傘が開いたさまはアジサイみたいなものか。雨にぬれて精彩が増し、憂鬱(ゆううつ)な気分を晴らしてくれたり逆に際立たせたり。気の利いた比喩だから多くの人に愛用されて、いまや定番の文句になったのだろう▼男性も日傘の活用をと、環境省がキャンペーンを始めた。日焼け防止というよりも熱中症対策である。近年の尋常ではない猛暑から、なりふり構わず身を守ってほしいと力がこもっている。さて、われわれ男はどうしたものか。炎天下にも傘の花を咲かせるべきか▼この数日、特におとといは暑かった。福井の最高気温は33・9度と5月の史上最高を観測した。これまでの1位は1915年5月30日の33・6度だから、更新は何と104年ぶり。ちなみに、統計上位には2010年代が並ぶ。国にいわれずとも洋傘店へ急ぎたくなる▼日傘をさすと汗の量が17%減るそうだ。効果はある。でも手がふさがるのが難。そこで東京都はかぶる傘を試作しているという。要は菅笠(すげがさ)? と画像を見てひっくり返った。ハイテクらしく銀色をした菅笠もどきだった。いや、本物はまだしも味がある。これを咲かせる気にはならない。

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