新著を出版した中村伸一医師=福井県おおい町の国民健康保険名田庄診療所

 福井県おおい町の国民健康保険名田庄診療所の所長を務める中村伸一医師(56)が、最期を迎えるためのヒントを説いた新著「入門! 自宅で大往生―あなたもなれる『家逝き』達人・看取り名人」(中公新書ラクレ)を出版した。同町名田庄地区で在宅医療、介護、看取りを長年支援してきた経験を基に、自宅で往生する「家逝き」の極意を、ユーモアを交えて紹介している。

 坂井市三国町生まれの中村医師は自治医大を卒業後、1991年に同診療所に赴任。日本全体が約20年前の同地区並みの高齢化率になる中、不安がらず臨終を迎えた患者を「家逝き達人」、動揺せずに見守った家族を「看取り名人」と表現し、さまざまなエピソードとノウハウをつづった。

 登場する住民たちは、思い通りにならない自然と格闘しながら暮らし、何代にもわたり家逝きと看取りを経験してきた人々。じいさま、ばあさまたちの生きざまを通じ「あるがままを受け入れる超平常心の知恵が、名田庄地区には残っている」とした。

 これらを踏まえ▽パニックにならないためにどう逝くかザックリ(ほどよい加減で)決める▽だれに介護され、看取られるか、理想と現実を整理する▽亡くなるプロセスを知る▽エンディングノートを作る―を提案している。「延命か否かという簡単な二元論じゃない」とも指摘。核家族化による老老介護が増える中で、介護者の負担を減らすために公的サービスの活用も促している。

 初の単著「自宅で大往生」(2010年)から9年。死に慣れておらず不安いっぱいの“オロオロさん”が増えたとみる中村医師は「在宅医療などの社会資源が整う一方で、何かが足りないと思い執筆した。家逝きの覚悟とノウハウについて考えてもらうヒントなれば」と話している。

 225ページ。税別860円。

関連記事