【論説】トランプ米大統領が令和初の国賓として、きょう来日する。27日午前に天皇、皇后両陛下と会見し、その後、安倍晋三首相との首脳会談に臨む。前日の26日にはゴルフや大相撲観戦、高級炉端焼き店での会食が予定されている。

 首相は超大国トップとの蜜月ぶりを国民に大いにアピールする算段だろう。だが「自国第一主義」を掲げるトランプ氏の振る舞いは国際社会を混乱に陥れている。苦言を呈してこその蜜月であることを示す必要がある。

 米中貿易摩擦を巡り、トランプ米政権は制裁措置の第4弾としてほぼ全ての輸入品に最大25%の追加関税を課すと発表。さらに、中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)の製品排除、同社への禁輸措置を打ち出した。

 こうした措置は中国だけでなく、米国を含めた世界経済に影響を及ぼすのは必至だ。日本企業も対応に苦慮しているほか、ファーウェイ製品を巡り発売延期や電子部品の出荷停止など実害も出始めている。

 日本経済への悪影響、景気減速を考えれば、首相はトランプ氏追従一辺倒ではいられないはずだ。来月大阪で開催される20カ国・地域(G20)首脳会合で、首相は再度の日米首脳会談のほか、中国の習近平(しゅうきんぺい)国家主席、ロシアのプーチン大統領ら各国トップとも会談する見通しだ。

 さらに米中首脳会談も行われる予定だが、今のところ見通せない。世界の各国は日米両首脳の親密ぶりを認識しているからこそ、安倍首相の役割に期待を寄せている。関係改善が進む中国は「橋渡し」役を求めているのではないか。

 どちらにも加担しにくい面があるにせよ、そこはG20の議長役として、また自由貿易の旗振り役として、両国や各国の協調体制を打ち出す覚悟が求められる。日米通商交渉をにらみながらの難しいかじ取りとなるが、安倍外交の真価が問われる局面だ。

 トランプ氏とは北朝鮮対応で共同歩調を取る一方、予測不能のトップだけに相反するものも少なくない。環太平洋連携協定(TPP)や地球温暖化防止のパリ協定、イラン核合意といった枠組みからの離脱、さらにはロシアとの中距離核戦力(INF)廃棄条約の破棄、エルサレムの首都認定や大使館移転など世界をかき回す事案は尽きない。

 来年の大統領選への布石といえるが、イランとの間では一触即発の事態も招きかねない様相だ。安倍首相には異論を投げ掛けるなど毅然(きぜん)とした姿勢を求めたい。とりわけ、日朝首脳会談の実現には米政権の後押しやチャンネルは欠かせない。したたかな外交手腕を発揮すべきときだろう。

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