毎年1回の人間ドックで15年ほど前から「逆流性食道炎」と診断されています。日常生活に支障はないのですが、何らかの病気に進行しないか不安です。逆流性食道炎とはどんな症状で、放置しても大丈夫なのか、普段から何を注意すればいいのでしょうか。(福井県福井市、51歳男性)

【お答えします】松永心祐・福井赤十字病院消化器内科副部長

 ■症状軽度でも炎症の程度が問題

 逆流性食道炎は、胃の中の酸や食事内容が食道へ逆流することにより引き起こされる食道の炎症です。症状としては胸やけ(みぞおちの上の焼けるような感じ、しみる感じなど)や呑酸(どんさん)(酸っぱい液体が上がってくる感じ)などの自覚症状が多いです。

 現在は成人の1~2割がこの病気にかかっていると推定されています。胸やけなどの症状でなくても、胸が詰まるような痛みを感じたり、のどの違和感や慢性的に咳が持続したりする人もおり、逆流性食道炎の治療を行うことで改善することがあります。

 胃カメラで逆流性食道炎を指摘されても、症状がある人とない人が存在します。今回は日常生活に支障がないとのことで、食道の炎症は軽度であると想定されます。炎症や自覚症状が軽度であれば治療は不要です。症状出現時に治療の相談でよいでしょう。

 食道の炎症が高度(ひどい)の場合、食道からの出血や、炎症が繰り返されることで食道の狭窄(きょうさく)(狭くなること)を引き起こすことがあります。また、長期的に逆流性食道炎が存在することで食道の粘膜が胃と同じ粘膜に置き換わるバレット食道という変化を生じえます。バレット食道は、特殊な食道がんであるバレット食道腺がんとの関与が考えられています。症状が軽度でも、胃カメラで炎症がひどいと確認された場合は、治療開始が望ましいです。

 ■内服薬で治療、食習慣にも注意

 治療には胃酸を抑える薬(胃酸分泌阻害剤)や、胃を動かす薬(消化管運動改善剤)などを使用します。状況により症状があるときに内服を開始し、良くなったら中止する、オンデマンド療法なども選択肢となります。

 日常生活において逆流性食道炎を悪化させる要因としては、腹部の圧迫、体重増加、喫煙などがあります。食習慣で避けたほうがよいことは食べ過ぎ、就寝前の食事です。高脂肪食・甘いもの(高浸透圧食)・酸っぱいもの(ミカンなど)・アルコールなどは症状を悪化させる要因となっています。これらの生活習慣、食事面に気を付けることで逆流性食道炎のリスクを減らすことが可能です。

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