国の重要文化財の指定を受ける曹洞宗大本山永平寺の仏殿や法堂など主要建造物=福井県永平寺町志比(大本山永平寺提供)

 国の文化審議会は5月17日、福井県永平寺町志比の曹洞宗大本山永平寺の仏殿や法堂など主要19棟を重要文化財(建造物)に指定するよう柴山昌彦文部科学相に答申した。禅宗寺院の基本的な建物配置である七堂伽藍を残し、各建物とも雄大な規模と壮麗な意匠を備え、山中の自然と一体となって優れた空間をつくり出している点が評価された。大本山永平寺の建造物が国の重文指定を受けるのは初めて。県内の重文指定としては1件当たりで最多の棟数となる。

 大本山永平寺は道元禅師が1244年に開創した。九頭竜川支流の永平寺川上流に位置し、谷沿いの緩やかな傾斜地を境内としているのが特徴。創建以来、建物は火災でたびたび焼失したが、道元禅師ら高僧の遠忌(おんき)などの機会に再建され、現存する多くは近世から近代にかけて整えられた。拝観ルートにある主な建物が重文に指定される。

 門や堂が回廊で結ばれた七堂伽藍を構成するのは6棟。本尊を祭る1902年完成の仏殿は、重厚で均整の取れた外観を持つ。貫首が法を説く法堂(1842年建築)、座禅など修行の場となる僧堂(1901年)、食事を作る大庫院(だいくいん)(29年)にも当時の技術が駆使されている。

 鎌倉時代に禅宗とともに広まった建築様式を基調としている。装飾的な造作が特徴で、入り口の山門と仏殿正面の中雀門(ともに県指定有形文化財)には、門前の「永平寺大工」らによる貝や植物などの彫刻が多用されている。

 七堂伽藍とは別に大本山ならでは建物として、高台に道元禅師を祭った承陽殿の本殿と拝殿、皇室など特別な来賓の上山時に使われる正門の勅使門(通称唐門)なども指定を受ける。

 大本山永平寺が重文指定を見据え、2013年から約5年かけて建造物を調査し、文化庁に報告書を提出していた。県生涯学習・文化財課は「建造物としてはあまり注目されてこなかったが、福井を代表する近代建築として群を抜いて優れていることが示された」と説明している。

 県内の有形文化財の国重文指定は107件、うち建造物は28件となる。

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