【論説】鯖江市の県立鯖江青年の家が、主催イベントで手伝いをしてもらう小学生ボランティアの育成を進めている。2年目の2019年度は4~6年生11人が登録、初年度の3人から大幅に増えた。子どもの頃から社会奉仕の精神や協調性を養う狙いで、高校生や大人に成長した後も、経験を生かしてボランティアとして活躍してくれると期待される。

 同青年の家のような社会教育施設は年間を通してキャンプなど各種イベントを行う。職員だけで運営の手が回らないときは高校生や大学生、社会人らボランティアの助けを借りるが、なかなか集まらない悩みを抱える。このため、県外施設の事例を参考に、小学生の参加に着目した。

 「鯖江青年の家キッズボランティア」の頭文字を取り「SSKV」と名付けた取り組みを18年度に始めた。小学生が事前に登録した上で、主に親子連れ向けのイベントの際、可能な範囲でサポートに加わる。初年度は4、5年生3人が登録。現場では専用の黄色い帽子をかぶり、受け付けやアンケートの配布・回収などを手伝った。ゲームの前にルールを説明したり、調理実習でかまどの火おこしの手本を見せたりした。

 もちろん小学生にできることは限られている。それでも一定の戦力になっているのは確かだ。さらに小学生ならではの効果も生んでいる。イベントに参加した子どもたちにとっては、先述のゲームの説明や火おこしで、同年代の子が目の前で頑張っている姿を見て、刺激を受けるのだ。参加者の保護者からは「子どものやる気が増した」といった感想が聞かれるという。

 初年度のSSKVメンバーについて職員は「1年間で大きく成長した」と話す。経験を積むうち、ゲーム中に「危ないから後ろに下がってね」と声を掛けたり「こちらへどうぞ」と誘導したり、自主的に考えて動けるようになったそうだ。小学生であっても「自分は運営側だ」との自覚が芽生え、つい一緒にイベントを楽しみたくなるのを我慢し、仕事に励んでいる。

 メンバーの1人に話を聞くと「人前で話すのが苦手だったが克服できた。何より、多くの人と触れ合えて楽しい」としっかり答えてくれた。初年度の3人は本年度も継続して登録しており、経験を後輩たちに伝えていってくれるだろう。さらに将来的にはSSKVを“卒業”した小学生たちが高校生や大学生になり、ボランティアとして帰ってきてくれる日が来るはずだ。長期的な育成のサイクルとして定着してほしい。

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